帰れない探偵





主人公の探偵は家を見つけられなくなり、故国も今や失いかけている。そんな主人公が多くの人の過去を調べ、アイデンティティの危機を探る。不条理な小説にも読めるが印象に残る小説でもある。
かもめ通信さんの 書評 を読んで手にした本です。その後、朝日新聞の書評欄でも取り上げられました。良い…

本が好き! 1級
書評数:1698 件
得票数:37930 票
神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。





主人公の探偵は家を見つけられなくなり、故国も今や失いかけている。そんな主人公が多くの人の過去を調べ、アイデンティティの危機を探る。不条理な小説にも読めるが印象に残る小説でもある。
かもめ通信さんの 書評 を読んで手にした本です。その後、朝日新聞の書評欄でも取り上げられました。良い…




アメリカ合衆国を内乱で倒し神権国家ギレアデを成立させた「ヤコブの息子たち」。この国では公然と女性を抑圧する。そのギレアデの将来に重要な影響を与えた女性3人の話。近未来のディストピア小説である。
2025年6月にNHKの番組「100分de名著」で本書の著者マーガレット・アトウッドが取り上げられた…


トロイ戦争の末期。女性の戦闘集団として知られるアマゾネス一族は、ギリシア方に闘いを仕掛ける。その族長ペンテジレーアは、敵の将アキレスに恋情を感じた。信じられない結末。
トロイ戦争については、ホメロスの 「イリアス」 「オデュッセイア」 で読んだことがある。しかし、「…





国境を守る老人と青年のふたりの兵士。そのふたりには国は違えど友情があった。しかし、その友情は戦争で引き裂かれる。淡々とした静かな描写、事件らしい事件もない物語で戦争の怖さを教えてくれる稀有な作品。
昨年、実家を整理し、保存することにした小学校六年生の教科書を読み返すと、そこにもこの作品が載っていた…





リトアニアのカウナスに住む語り手で15歳の少女リナとその両親、弟の運命。彼ら一家は「名簿」に載り、アルタイの草原、そして北極海に臨む荒地で強制労働をさせられる。彼らに希望はあるのか?
本書は、同著者の作品である 「モノクロの街の夜明けに」 の紹介をしてくださったぱせりさんがコメント欄…





階級から紐解く英国文学と映画。イギリス人の微妙な階級観は、こういうガイド無しには読み取れない。
「風にのってきたメアリー・ポピンズ」 の主人公がなぜ不機嫌なのか?という僕の感想に対してRokoさ…




断食をしているところを観客に見せることを生業とする「断食芸人」を題材にしたカフカの短編の解説。自分のことを書くのが好きなカフカは、断食芸人そのものなのだろうか。
三太郎さんの 書評 を読んで手にした本です。良い本のご紹介ありがとうございました。 カフカの …



ホームズ物を深く分析すると著者コナン・ドイルの深層心理がわかる。そんなことを中心としたホームズ論である。
日本シャーロック・ホームズ・クラブ主宰で、シャーロッキアンとして知られる小林司氏と東山あかね氏が書く…




小説家で元レーサーの著者が、動物実験の残酷さ、無意味さを説明した本。本書の発行時点(1976年)では、動物実験の廃止に向けて大きな取り組みはなされていない。
「動物実験を考える」 の参考文献リストに載っていた本で、これも1990年代の前半に読んだもの。「動…




1990年代まで、「飼えなくなった」という人間の身勝手な理由で行政機関に処分のために持ち込まれていた動物たち。その多くは、安楽死などではなく、残酷な動物実験のために研究機関の払い下げられていた。
評者は1990年代から2010年代にかけて動物保護団体の会員だったことがある(今ではその団体は事実上…




フランス革命の恐怖政治の後には総裁政府が成立し、政府機関である国立学士院が動物虐待に関する論文を募集した。現存する27本の論文を切り口に人間の倫理観、平等性の議論に踏み込んでゆく。
こちらも朝日新聞の書評で知った本である。 とても変わった題名だが、これは以下の事情による。18…




山岳ガイドである著者は、単独で御嶽山に下見に行き、偶然、噴火に遭って、命がけの避難に成功した。当事者として、生死を分けた要因を考察し、そこから得られる教訓を書いた本である。
ここ数年、一緒に登山をするようになった同級生から勧められた本である。 著者は山岳ガイドで201…





運動生理学の観点から、疲れない登山、自分のレベルに合った登山とを具体的に指南した本。登山は事前準備が重要で、多くの人は実践している有酸素運動の他、筋トレ、バランス能力を鍛えることも推奨している。
独醒書屋さんの 書評 を読んで手にした本。良い本のご紹介ありがとうございました。 自分は、会社…



マダガスカルには16世紀、王を自称する者はいるが、比較的平等な社会が存在しそれは海賊が先住民に影響して作られた国だという。著者はそれがヨーロッパに伝わり啓蒙思想の元となったというのだが・・。
こちらも朝日新聞の書評で知った本。グレーバーは 「万物の黎明」 で知った著者だが、こちらの方が先に書…





たかが「土」されど「土」。ありふれている筈の土が地球に誕生した奇跡を解説する本。
こちらも朝日新聞の書評で知った本。数年前に 「土と内臓」 という本を読んだが、その本でも微生物と植物…



霊長類研究者の山極氏とシジュウカラ研究者の鈴木氏の対談。人間も動物も言語だけではなく身振りや視線でコミュニケーションを図ってきたが、人間のそれは最近は文字偏重となり、問題があるのではないかという。
くにたちきちさんの 書評 を読んで手にした本である。面白い本のご紹介ありがとうございました。 …





動物の色々な感覚について述べた本。中には人間には全く備わっていない感覚もある。そして動物がその感覚で世界をどんな風に掴んでいるのか、人間は決して知ることはできないという。
こちらも朝日新聞の書評で知った本である。 生物学者・ユクスキュルが提唱した環世界の概念はドゥ・ヴァ…





クジラが鳴くことは最近、よく知られてきたが、本書では海洋生物全般が「鳴く」ことを説明している。海は沈黙の世界ではなかった。そして人間は、そこでも騒音をまき散らし生態系を乱している。
こちらも朝日新聞の書評で知った本である。子供の頃に見たクストーの「沈黙の世界」は海の中を映像で再現す…





小さなハチにも心(感情ではなく思考/記憶/認識など)があるということを様々な観点から分析した本。著者の研究対象であるハチへの愛情も感じられる。
本書は朝日新聞の書評で知った本である。 まず、題名について扉に日本語版編集部の断り書きがある。…



ほら男爵の冒険話を五編。全てがそんな筈はない、という馬鹿馬鹿しい話ではあるが、それ故笑える話ばかりでもある。
ほら男爵として有名な「ミュンヒハウゼン男爵の冒険」の全訳である。先日、星新一がミュンヒハウゼン男爵の…