燕は戻ってこない (集英社文庫)【Kindle】





男と違って女には売るものが沢山ある。媚びを売るのはいやらしい、下着を売るのは不道徳、体を売るに至っては犯罪行為である。では卵子と子宮を提供して代理母として子供を売るのは?
どうしても子供が欲しい不妊症夫婦が最後にたどりついたのがサルゲートマザー。いわゆる「借り腹ビジネス…

本が好き! 1級
書評数:2230 件
得票数:30256 票
「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。





男と違って女には売るものが沢山ある。媚びを売るのはいやらしい、下着を売るのは不道徳、体を売るに至っては犯罪行為である。では卵子と子宮を提供して代理母として子供を売るのは?
どうしても子供が欲しい不妊症夫婦が最後にたどりついたのがサルゲートマザー。いわゆる「借り腹ビジネス…



「偽薬」ならぬ「疑薬」。画期的新薬承認をめぐる副作用の隠蔽ペイ問題を扱っており、どろどろとした展開となるかと思いきや思いのほかいい読後感でした。
膨れ上がる医療費抑制のあをりをくって、安価な後発医薬品(ジェネリック薬)に取って代わられる先発の製…





探偵役は高校2年生の図書委員2人組。会話の端々と状況の観察から鋭い推理で真実に迫ります。殺人も、警察も凶器さえも登場しない青春ミステリです。
探偵役の堀川次郎と松倉詩門は高校2年生の図書委員。週に一度の委員会活動がだんだん2人の距離を近づけ…



「初めの一歩」ならぬ「途中の一歩」。40がらみの男女7人が織りなす複雑な恋愛劇で、雫井にしては珍しいテーマです。
男女の漫画作家2名を軸にいい年をした男児がパートナーを探して迷走劇を繰り広げます。 まずは…




大人の恋愛、クラシック音楽、介護、戦争、人生の終末とそれぞれ篠田が得意とする分野5編の掌編集。
篠田節子はSFから恋愛小説、重いのから砕けたものまで、バラエティーが豊富な作家さんではあるものの、…




食に関するエッセイは罪がなくていい。特に文章が上手い作家の手にかかって紹介された旨いものは、是非それを食べたくなる。神吉拓郎の説得力はハンパありません。
神吉拓郎は昭和の人で、そもそもはNHKの放送作家をへて、小説家としては「私生活」で直木賞受賞、また…





『犯人に告ぐ』の雫井のデビュー作。栴檀は双葉より芳しです。主人公を女性柔道家に設定しているとことで全体の雰囲気を柔らかくして読みやすくしている。しっかりミステリになっていてドンデン返しは秀逸です。
オリンピックでの復権を目指す柔道界を舞台にしているスポーツミステリーです。 ヒロインは柔道の元…




要は女2人男一人の3各関係の話であるが、18歳にして共通の業を背負った3人は素直に自分の心を表現できない。32年間をかけた長いラブストーリーは思いのほか面白かった。
軽井沢育ちの稀世と英次、東京から避暑にくる未来子と創介は、仲良しグループで、高校卒業の年に思い出に…




伊坂らしい中編2本「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」です。本書は8人作家が同じ設定で小説を書くという企画もののうちの一作品だそうで、ほかのものもぼちぼち読んでみたい気がします。
良くも悪くも伊坂幸太郎的な小説。プロットよし、設定好、展開は警戒で、ひねりと、オチとユーモアも十分。…





水に欲情するという変わった性癖を持つ3人が、世間の理解を得られずに児童ポルノの汚名を着せられるという身も蓋もない話ではあるが、昨今の多様性に寛容な風潮に一石を投じる問題作となっています。
プロローグで3人の小児性愛者であり児童ポルノ愛好者が逮捕されるという事件が紹介され、実はこの3人へ…


「貞子」は見たら呪われるビデオでしたが、本作は話を聞いたら呪われるという同系列の「感染系ホラー」。確かにこういった無差別攻撃は怖いですね。最後にオチをつけているところが乙一らしい。
ホラーは読みません。単純に怖いのが嫌だからです。したがって本書はホラーとは知らずに、単に乙一作品だ…




警察組織内にはびこる巨悪に敢然と立ち向かう越境捜査シリーズ第2弾。今回の敵は日本でも有数の富を有するパチンコ業界の雄。やつは金で警察幹部を買収し殺人をはじめ多くの罪を犯していた。
発端は7年前の殺人事件。電子部品会社の社長・鹿沼が惨殺され、その被疑者とされていた川端が自殺した。…




順風満帆だったはずのキャリアウーマンたたちが挫折するも、旅先での新しい出会いで再起する物語を集めた短編集です。女流作家の作品なのにハーレー愛がハンパなくってびっくりです。
短編の物語はどの話も女性が主人公ですが、挫折して傷心中。そこから再起する物語ですが、特に表再作「さ…





5つの短編が、微妙に繋がりをもって日が当たらない人々の生活を描きます。短編ながら一つ一つにオチがちゃんとあって完成度は高いです。「青天の霹靂」よりはるかにいいです。
ホームレスに憧れる会社員。売れないアイドルを応援するヲタク青年。とかく男に遊ばれるおつむの足りないフ…




犬の揺るぎない忠誠心反対に、人間社会の脆さと冷淡さを対比させられて感動というよりもちょっと考えさせられる小説です。
どうやら原作はコミックのようで、犬好きの原田が気に入って小説化したとのことです。孤独で犬だけが友人…




失踪したAV女優の捜索依頼を受けた女探偵ミロ。登場人物が全員不幸の影を背負っているところが好もしい。
女に探偵をさせるなんて危なっかしいし、お色気シーンも期待させるし、所謂ハードボイルド小説にはなり切…



17歳の令嬢・洋子の恋人は殺人犯と疑われ姿を消す。彼を追って東の寒村を訪ねた彼女に襲い掛かる運命が悲惨すぎて…昭和20年代という時代背景を差し引いても単なる残酷物語となっていて深みにかけます。
装丁がきれいだし、帯の「息を飲む、衝撃的すぎる結末!」というのにも惹かれて手に取りましたが、なんとも…


実兄を殺されたマジシャンである素人探偵が、警察を出し抜いて真犯人に迫るという前近代的なエンタメ推理小説。証拠教条主義に頼らない乱歩時代の探偵小説を思わせて、味はあるのですが…冗長なのが残念。
とある田舎町で定年退官した中学校講師が絞殺される。みんなから慕われて定年後も何かと教え子たちの相談…





カンボジアで行方不明になった親友とその美人姉妹を捜して、現地に赴く青年の冒険と成長譚だが、そこは桐野小説だけあって混沌とし猥雑な現地の描写と、BLを思わせる主人公の純粋さがアクセントとなっています。
高校時代の親友・空知とその姉妹とがカンボジアで行方不明となり、26歳の主人公・晃は3人の消息を求め…





新選組を脱退したため篠原泰之進は命を狙われるが、一方、泰之進は師の仇と近藤勇を狙う。この狙い狙われる関係を影踏み鬼になぞらえて、新選組の実情を内部から描く新選組盛衰記になっています。
そもそも寄せ集めの会津藩の草莽の浪士団であった新選組が、禁裏の守護者、京の治安部隊として調停に認め…