先生、オサムシが研究室を掃除しています



「え?タイトルの理由は、そんな感じ!?」と言う思いは、しかし不満にもならず、読み進めば、楽しさと軽さの奥に潜む「人間動物行動学」的視点に惹きつけられる。軽口にだまされるべからず。
このシリーズに馴染んでいる方はそうは思わないのかもしれないが、タイトルから、当然「オサムシ」の話が…

本が好き! 1級
書評数:1074 件
得票数:19966 票
文学作品、ミステリ、SF、時代小説とあまりジャンルにこだわらずに読んでいますが、最近のものより古い作品を選びがちです。
2019年以降、小説の比率が下がって、半分ぐらいは学術的な本を読むようになりました。哲学、心理学、文化人類学、民俗学、生物学、科学、数学、歴史等々こちらもジャンルを絞りきれません。おまけに読む速度も落ちる一方です。
2022年献本以外、評価の星をつけるのをやめることにしました。自身いくつをつけるか迷うことも多く、また評価基準は人それぞれ、良さは書評の内容でご判断いただければと思います。
プロフィール画像は自作の切り絵です。不定期に替えていきます。飽きっぽくてすみません。



「え?タイトルの理由は、そんな感じ!?」と言う思いは、しかし不満にもならず、読み進めば、楽しさと軽さの奥に潜む「人間動物行動学」的視点に惹きつけられる。軽口にだまされるべからず。
このシリーズに馴染んでいる方はそうは思わないのかもしれないが、タイトルから、当然「オサムシ」の話が…



昔ドラマで観た作品は、女性が主役のラブラブ捕り物帖だった
時折実家の母を、本を持参して訪ねる。これは確か小野寺昭が主演していたドラマを観ていたはず、と買…

このお店はオーナーがテレビタレントです。たまにお店に顔を出しますので、会えるかもしれません。
「あばたもエクボ」 とはよく言ったものだ。 好きになってしまったものの、欠点は見え…





思っていたよりも、ずっと硬質で、まるで多面体の立体構造物を眼の前にしたような。思わず、居住まいを正し、背筋を伸ばして読んでしまう。 こんな薄い本なのに、広大無辺な世界が垣間見られる。
『数学する身体』とは、すぐに飲み込むには、いささか難しいタイトルだ。一体何が書かれているのか。興味…



「絵の教室」ですが、技術的なことは教えません。でも、がっかりしないでください。やっぱり絵は素敵だな、と思いながら読み終えることができます。
昔から安野の絵が好きだ。 昔はどこにでもあったような、日本の田舎の山々を描いたのも好きだし、海…




今、まさにイーハトーヴは春を迎えた。賢治にもらった色眼鏡。景色が色鮮やかに見えてくる。賢治はこの景色をどんな気持ちで眺めていたのか。
雲はちぎれてそらをとぶ 玉髄の雲がながれて 雲の魯木の群落が延び 雲の火ばなは降りそそぐ …





今日もニュースでは、罪なき人々の犠牲が報じられる。我が事と想像してみれば、息が苦しくなるような現実。自分がもし、その立場になったら、そうも思う。作者のように、立ち直ることができるだろうか。
大事な人を、突然亡くしたら。 しかも、何の罪も、落ち度もなく。 飲酒運転や、無謀な運転の犠牲と…




「2001年≒エイリアン」そして「2010年≒エイリアン2」。続編にまつわるあれこれを感じる。
テーブル、柱、置かれている家具。 ゆっくり近づいて、次第に加速して、再接近後に離脱。滑らかに加…




社会的紐帯と言うキーワードを哲学・政治・精神分析の各分野から行ったもの。手元に残ったのはマーカーだらけの消化しきれない本と、もっと勉強したいと言う想い。人間を知る上でひとつの切り口を得ることができた。
まるで、大学生に戻ったかのような。 あるいは、学会の発表を聴いているかのような。 後ろの席での…




太平洋戦争は、当時の段階での文明論、あるいは歴史認識、戦争に対する考え方など、日本人の国民的性格が全て凝縮している、最良の教科書なのだ。
本当に日本の戦争が終わったのは、8月15日なのか、9月2日なのか。 終戦でいいのか。敗戦なのか…



私の読書と言う旅の半ばに、道標として大きく、高くそびえるウィルソン。その影響の痕跡を、古い書評で再確認する。
若かりし頃、彼の作をいくつも読んだのを思い出す。そして様々な影響を受けていたのだな、とかみ締めた。…



圧倒的な情報量に思考を揺さぶられ。やがてその振動がくせになる。
たとえば、 当然。必然。断然。 ラップのように韻を踏んでつながる言葉。 少しずつずらさ…





絶頂。それは、やがて堕ちる事のみ待つ極みの時。
葵の上の父太政大臣。そして藤壺の宮。源氏の支えとなってきた二人の死。 そんな二人の死の翳りを消…





3世紀に渡る難問への挑戦。そのゴールを描くだけでなく、数学と言う古代から続く学問の長大な歴史絵巻を見るかのようだ。数学が好きな方はもちろん、好きでない方も楽しめる力作。
数学の核心は証明にある。そして証明こそは、数学と科学の他の分野とをきっぱりとわかつものなのだ。数…



やはりホームズは偉大だ。 コナン・ドイルについての本を読み、その後本書を読み直してその思いを強くした。
ホームズものの注目具合はドイルの本意ではなかったらしいけれど、ホームズが出てこないミステリ短編集は…



好きが高じた探求。作品を読むのに役立つか、邪魔になるか。
読書体験の始まりの記憶は、明智対二十面相。そしてホームズの怜悧な推理。 今でもミステリ好き…




人は自分の中にないものは見ることができない。 彼を嫌いな人の多くは、彼の人となりが嫌いなのではないか。 逆にどこかしら離れられない感じを抱くのは、何かしら彼と自分の中に共通項を見つけるからなのではないか。
嘘つきは、正直者には分からない他人の嘘に気づく。 策士は、人の隠された企みが見える。 …



作者が読んできた本の書評。数学の話。犬や日常のひとコマ。 歩んできた小説についての話題。様々なテーマが、現れては消え、その不連続さに、しばし佇む。 愉快な話、自らの記憶を蘇らせる懐かしい話題。
この手の本は、なかなか一度に読み進むことができない。 2~3編読んでは、次のページをめくるかど…





数十年の時を経て、ようやく掘り出したSF史上に輝く名作。やはり映画版と切り離して考えることはできない。音楽と映像で、感性を刺激した映画。説明を求めずにはいられない者には小説。
1968年同名の映画が公開。同年『猿の惑星』も公開している。 4年後の1972年『サイレント・…




ニーチェを研究する著者が、ニーチェ論の大作を編んだ後に別な視点から挑んだ本書。作者がニーチェの言葉に触発されて感じたことを書いた、作者の人生観や社会観。
ニーチェ論ではない。彼を緻密に分析し、哲学史の中での位置を固定化するようなものでもない。まして彼を…