文化財と標本の劣化図鑑





本書は、管理する立場の責任を追及されてしまう恐れをおそらくは抱きながら、博物館に収蔵された資料劣化の現状と課題、そして対処法を示したチャレンジングな1冊である。
「博物館行き」とは「古くなったものや役に立たなくなったもの」を示すような悪い意味で使用されると思う…

本が好き! 1級
書評数:453 件
得票数:12456 票
ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!





本書は、管理する立場の責任を追及されてしまう恐れをおそらくは抱きながら、博物館に収蔵された資料劣化の現状と課題、そして対処法を示したチャレンジングな1冊である。
「博物館行き」とは「古くなったものや役に立たなくなったもの」を示すような悪い意味で使用されると思う…





本書は製鉄遺跡で見つかった情報をもとに、実験的手法によりながら古代の製鉄技術の解明に挑んだ取り組みをまとめた専門書である。古代の製鉄技術が少しずつ解き明かされている様子が分かりやすくまとめられいる。
古文書に記されていない歴史事象の解明は、遺跡の発掘調査成果に頼るしかない。 しかし、遺跡で見つ…





弥生時代の奴国の王都の可能性が限りなく高い福岡県春日市の須玖遺跡群の調査成果を紹介する1冊。当時の国の実態を垣間見ることができるはず。
「漢委奴国王」と刻まれた金印は、ほとんどの日本人が知っている考古遺物ではないだろうか。 金印に…




個人書店や私設図書館、ブックカフェなど、本が置かれた空間を採集し、透過立体図という形で提示した1冊。いずれも主の興味関心を一定程度反映させて形成した空間である。紹介している物件は44件。
他人様の本棚は興味深い。 本棚は持ち主の人となりや興味を反映しがちで、並び立つ背表紙のなかから…




秋田県の上岩川遺跡群は、縄文時代の石器素材である珪質頁岩の採掘跡。生活遺跡ではないため土器はほとんど出土しておらず、石器生産の痕跡ばかりという特徴的な遺跡。本書はそんな遺跡群を紹介した概説書。
縄文時代の人たちは、その辺の石ころを拾って、巧みに石器を作ったわけではなく、適切な石材を選択し、苦…





長い歴史を経て受け継がれてきた文化財の継承に尽力する国立文化財機構に所属する職員の取組を紹介する。
長い歴史を経て受け継がれてきた文化財は、国宝や国指定重要文化財、都道府県指定、市町村指定など、さま…





弥生人が赤色顔料の素材である辰砂を採掘していた徳島県阿南市若杉山辰砂採掘遺跡の紹介。石器で採掘をしていたそうです。
土器の胎土にませたり、土器に色を塗ったり、埴輪に模様を描いたり、古墳の石室に装飾を施したり、先史・…





本書は2022年4月16日から6月12日まで九州国立博物館で開催された特別展「北斎 日新除魔図の世界」の図録。
主要な展覧会の図録が市販されるようになり、間接的ながら気軽に行くことのできない地域の展覧会に触れる…




「勉強は人生を変えるコスパ最強の手段」とする著者が、「脳内メモリ最弱」という逆境を克服して築き上げた勉強法を惜しみなく披露した1冊。学生だけではなく、社会人にも必要な方法が盛りだくさん。
高校、大学そして就職と人生はことあるごとに受験で勝ち抜く必要がある。 就職後にも資格や昇進に関わ…





ゾンビの襲撃を主体とした「WORLD WAR Z」の作者マックス・ブルックスが手掛けた本作「モンスター・パニック!」は、ビッグフットが登場します。
ブラッド・ピット主演映画「ワールド・ウォーZ」は、世界規模で発生したゾンビパニックを描いたアクショ…





2000年6月24日に奈良大学で開催されたシンポジウム「いま探る古代の庭園」を再構成して書籍化したもの。古代庭園について知るための最適な1冊です。
本書は2000年6月24日に奈良大学で開催されたシンポジウム「いま探る古代の庭園」を再構成して書籍…




東郊住宅社が営むトーコーキッチンを紹介する本書は、業界の常識にとらわれない柔軟性や様々な分野に足を踏み入れて世界観を広げることの大切さを教えてくれた。1つの成功例の紹介に留まらない影響力を持つ1冊。
学生時代、最初の2年間は寮生活だった。 敷地内に複数の寮が立ち並び、その傍らに平屋建ての小さな食…





「You Tube」の「週末縄文人」の活動を書籍化したもの。「週末縄文人」は縄文時代の技術を試行錯誤しながら獲得する試みだ。動画のほうが面白いと考えていたが、書籍でしか表現されないものが確かにあった。
「You Tube」で「週末縄文人」をはじめて見たのはいつだったろうか。 スーツ姿の2人の男が…




5人のメイン登場人物の手紙のやりとりを軸に物語を展開させた三島由紀夫の異色作。
もっとも日常的に書く文章は、現在はSNSだろうか。 特定の相手に対してはメールであり、かつては…




茶道についての概説書で、茶道に近づくハードルを下げてくれる1冊。茶道は茶の湯の技術を究めることが目的ではなく、それを日常生活の中に落とし込むことの重要性を教えてくれた。
毎日の暮らしの中で茶道に触れることは今までなかった。 ペットボトルの緑茶をぐびぐび飲むのは日常で…



炭が燃料の主役だったころ、炭焼きは1年のライフサイクルの中に溶け込むように嵌め込まれていた。自然とともに暮らす時代の当たり前が、いまでは特別なことのように感じる1冊。
『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎は炭を焼いて、それを売ることで生計を立てていた。 大正時代のこ…





本書はエンターテイメントという形を借りながら現代社会の危うさを突き付ける啓蒙書と感じた。真の正義とは存在するのか、そして平和を維持することは人間に可能なのか。思い悩まされた1冊。
はじまりは1人のテロリストの死。 2017年8月30日のこと。 そして、2021年9月11日、…




近世城郭と言えば反り返りながらそびえる高石垣が象徴的だ。しかし、中世城郭は土を掘削して盛った山城が主体である。そこに石垣を設えることはある。本書は戦国時代の城と石垣に焦点を定めて論じた1冊である。
近世城郭と言えば反り返りながらそびえる高石垣が象徴的だ。 建造物の多くが喪失しているため史跡と…




新型コロナウイルスや地球温暖化、永久凍土の溶解など、現代的問題をうまく取り込みながら、新たなウイルス問題に取り組んだ意欲的小説。でも、パニック小説ではありません。
毎年暑い! 年々暑くなっているような気がする。 アブラゼミよりクマゼミの勢力が強くなって久…





2015年のラグビーワールドカップイングランド大会。強豪南アフリカを撃破して3勝をあげた日本代表を陰で支えたメンタルコーチが著した本書は、教育現場でも参考にしてもらいたい1冊だった。
2023年は、ラグビーワールドカップフランス大会の開催年である。 長らく日本のラグビーは弱小で…