読書ガイド「本が好き!」が運営するニュースサイト

萌え×クトゥルーの新たな代表作『ニャル子さん』漫画版もオススメ

昨日の記事ラノベを徹底的に分析するための着眼点「オタクの4大ニーズ」とは?が、当Bookニュース史上最高のアクセス数を集めたので、今日は当初予定していたジョルジュ・ディディ=ユベルマンの美術史批判の人文書イメージの前でと入れ替えで、ライトノベル発のアニメ化で新たなヒットになりそうな作品這いよれ!ニャル子さんを紹介したいと思います。
 
……と言っても今回紹介するのは、アニメでも原作のライトノベルでもなくそのコミカライズ作品
 
這いよれ!ニャル子さん
 
『這いよれ!ニャル子さん』は、クトゥルー神話を正面から題材にとったライトノベル作品。平凡な日常を送っていたはずの主人公のもとへ、美少女の姿をした「邪神ニャルラトホテプ(=ニャル子さん)」が宇宙からやってきて、宇宙規模の犯罪組織と闘うという筋書きです。
「クトゥルー神話」とは、「クトゥルフ神話」とも言われる架空の神話体系のこと。20世紀前半にアメリカの作家HPラヴクラフトが作り出した小説世界を、その友人の作家たちや影響を受けた人びとが拡張していったものです。現実には存在しない地名や書物が登場し、『這いよれ!ニャル子さん』以前にも、クトゥルー神話をモチーフにしたライトノベルやマンガ、ゲームは多数発表されてきました。
 
ライトノベル入門として昨日紹介したベストセラー・ライトノベルのしくみの枠組みで言えば「ネタになる」要素としてこのクトゥルー神話体系を最大限に利用しようというのがこのシリーズの特徴だと言っていいでしょう。
 
ちなみに「萌え×クトゥルー神話」についてはこのページが素晴らしく詳しい(萌えクトゥルフの歴史 – クトゥルー/クトゥルフ神話作品発掘記)ので是非御覧ください。
 
コミック版『這いよれ!ニャル子さん』を今回取り上げるのは、本書がライトノベルを手に取るのに抵抗がある人にも安心してオススメできる「マンガ」だから。クオリティの低いメディアミックスを良しとせず、本気で展開させていく気概を感じます。アニメ版も本シリーズの強みである「ネタになる」に重点を置いたオープニングテーマ『太陽曰く燃えよカオス』が大成功し、僕のTwitterのタイムラインがこの曲に中毒してしまった人たちによる「 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」という投稿で埋まっています。

 
ちなみにこの「 (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」の部分だけを1時間ひたすら繰り返すだけの動画も投稿されていました。「聞いていると気が狂いそうになる」と評判です。

 

なお、『ニャル子さん』のコミカライズを手掛けるのは岡崎圭氏。「週刊ヤングジャンプ」「月刊ヤングジャンプ」で十字架の魔術師という作品を三年間にわたって連載していました(現在は完結。全6巻)。「読者からのアンケートの投票数1位の作品がヤングジャンプへの連載権を得る」という雑誌『漫太郎』でみごと得票数1位に輝いた経歴を持つ実力派。『ニャル子さん』でも多彩なテイストを詰め込みカオス感をうまく表現しています。さすがに原作版『ニャル子さん』のイラストレーター狐印氏の描く魅力的なキャラ描写や、アニメ版の異世界感の不気味な演出には届かないのが残念なのですが、かなり良いところまで表現できていると思います。
 
それにしても、クトゥルー神話絡みだと何故か魅力的な女性キャラが登場するような気がしているのは僕だけでしょうか。斬魔大聖デモンベインの魔導書なのに美少女アル・アジフとか。あの、「美少女の姿をした書物」という設定なんです……。意味不明だと思いますが……。
「デモンベイン」シリーズについては、『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』の著者である飯田氏と同じ「限界小説研究会」のメンバーで、既にセカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史で高い評価を得ている評論家の前島賢氏による連鎖する物語、背中合わせの希望と絶望という文章がネット上で読めるのでオススメ。胸がアツくなる名文です。

 

デモンベイン 無垢なる刃   デモンペイン 軍神強襲   

なお、この「デモンベイン」シリーズは、第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞したアニメ作品『まどか☆マギカ』にも関わったゲームメーカー「ニトロプラス」の代表作品のひとつ。
 
あとは昨年刊行されてクトゥルー神話好きのあいだでちょっとしたブームになった異形たちによると世界は…に登場するキャラクターも魅力的でした。著者のcoco氏は「萌えではない」と言っていましたが。
異形たちによると世界は…
 
日日日(作家名です)氏のささみさん@がんばらない 7は、もともと日本神話をベースにした作品ですが、いろいろな地域の神話ネタが盛り込まれ、クトゥルー神話ネタも登場します。また、くしまちみなと氏によるかんづかさも、日本神話とクトゥルー神話をミックスさせた内容だとのこと。未読なのですが面白そうです。
なんというか、乱発されるライトノベルなどのコンテンツ産業が物語のネタを開発し尽くして世界中の神話体系を参照しまくり、果てはネタが枯渇してしまうのではないかという危惧がちょっとだけあります。そんな未来にどんなコンテンツが生まれてくるのか、ちょっと観てみたいという願望も湧いてきますが。『ささみさん』もアニメ化するということなので、是非『ニャル子さん』に劣らない気合の入ったメディアミックスを仕掛けていただきたいものです。

 

かんづかさ   ささみさん   

 
あとクトゥルー神話ものといえば、先日刊行された「光文社コミック叢書」のSIGNAL VOL.1に、ラヴクラフト唯一の長編を原案とした「狂気の山脈にて」という作品が掲載されていました。またこのアンソロジーには、ひらいたかこ氏がEAポーの死の瞬間を描いた美麗なイラストストーリーや、畠中純氏による江戸川乱歩作品の漫画化、谷口ジロー氏が手掛けた絵本などが収録されており、まさにマニア垂涎必至の逸品。ただし一般の人が手に取ると戸惑うこと間違いなしという異様な一冊でもあります。
SIGNAL
 
【関連ページ】

ライトノベル 『這いよれ!ニャル子さん』 表紙のポーズ元ネタ一覧 : オレ的ゲーム速報@刃

これも凄い。
 

まんが日本クトゥルフばなし : スレスト1000本ノック

クトゥルー神話ネタで最近一番おもしろかったのはコレ。
 

ニャル子さんから入った人のためのお薦めクトゥルフ神話作品 – クトゥルー/クトゥルフ神話作品発掘記

こんな素晴らしいページも。
管理人さんはうちのメイドは不定形を絶賛オススメしています。クトゥルー神話分が「特濃」ということなんですが、入門したての人にそんなのオススメして大丈夫なんでしょうか。
うちのメイドは不定形
 

「這いよれ!ニャル子さん」が公式配信アニメの歴史を塗り替える – 未来私考

アニメ『這いよれ!ニャル子さん』のニコニコ動画での配信の歴史的な成功を分析している記事。
当記事本文中でも触れた「うーにゃー」などのネタ分が1行AAとしてtwitterを席巻し、やがて「ニャル子さん」の認知度向上につながる流れなどが指摘されています。
 
 
==================================
【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
==================================
==================================
「BOOKニュース」では出版系のイベントからマニアックな新刊情報まで、
本に関する情報を収集して紹介しています。
ユニークな本を出される出版社様、
紹介させていただきたいのでBOOKニュース宛に新刊をぜひ送ってください!

twitterアカウント(@honzuki_news)でもときおり呟いております。
RSSフィード購読はこちら。

コメント

コメントをお寄せください。

コメントの投稿

コメント(必須)