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日本が誇る異想世界のクリエイター・弐瓶勉『シドニアの騎士』最新刊

異想の漫画家といっても今ではもうあまり珍しくなくなってしまいましたが、そのスケールの大きさや重量感において弐瓶勉を凌ぐ存在はまだ現れていないように思います。その弐瓶氏の連載作シドニアの騎士の最新刊が刊行されました。
 
代表作BLAME!のような無機質感あふれる世界。『BLAME!』では、勝手に増殖を続ける超巨大建造物が重要な設定でしたが、今度は宇宙空間を彷徨う巨大移民船が舞台。そんな世界でまるでアニメの王道のような学園・恋愛・成長といったストーリーが展開されていきます。
 

 
なんといってもまずは絵が良い。

 

      

 

巨大移民船で王道青春ストーリーというとアニメ『マクロス』を思い出される読者もいると思います。『マクロス』では登場人物よりもメカや設定のほうに比重があったと言われますが、弐瓶勉は本作でその方向性をさらに過激に推し進めます。それでいてヒューマンドラマが破綻したり薄味になったりしないところが素晴らしい。もともと異色作だった『BLAME!』のさらに異色なスピンアウト作BLAM学園!の雰囲気をさらに発展させたような感じです。

 
謎が謎を呼び常にあちこちで陰謀のようなものが進行するなか、繰り返し襲い掛かってくる正体不明で強大な敵に立ち向かう主人公たち。謎の深さや複雑さ、そして敵そのもののスケールの大きさなど、作者の表現力の深さには驚かされるばかりです。SFに興味のある人になら万人にオススメできる快作。
 
 
【関連記事】

いま最も注目の女性漫画家ヤマシタトモコ、未発表作品3作含む短編集

Twitterでヤマシタトモコ氏の言動をフォローしていたら、なんと「弐瓶勉氏と飲みに行って来ました―」みたいな発言があって夢が膨らみました。
誰が誰と飲みに行こうと勝手なのですが、この二人の取り合わせはさすがにゴージャスすぎるだろうと思った次第です。コラボしてほしい……。

 

食事中の熟読は危険!!登場人物の9割が変態『変ゼミ』

上記の記事で取り上げた『変ゼミ』ではもっぱら現実の若者が登場していますが、TAGRO氏がかつて描いたSF作宇宙賃貸サルガッ荘は面白かった。

 

メキシコで大人気!怖くてかわいい?『骸骨の聖母サンタ・ムエルテ』

弐瓶勉氏の作風はときとして「サイバーバロック」と呼ばれますが、バロックのもうひとつの展開として中南米の「ウルトラバロック」という様式があります。本来は建築様式を指すウルトラバロックですが、その特徴である過剰な装飾・極端な造形・鮮やかな色彩は、建築以外にも見出すことができます。
上記記事の「サンタ・ムエルテ」とは、メキシコでいま勢力を急速に増大させている民間信仰文化。ご神体となる骸骨の聖母の姿はまさにウルトラバロックだと呼べるでしょう。

 

現代SFの最先端!むせかえる官能と悪趣味の世界『第六ポンプ』

ここのところ大注目株作家であるバチカルピ。彼のデビュー作「ポケットのなかの法」は、弐瓶作品のような自己増殖する巨大建造物のある町が舞台でした。作者の視線はもっぱらその町で必死に生きる貧民の少年に向けられていましたが、弐瓶ファンなら、『BLAME!』的世界の最初期の物語としてこの作品を読めるかも知れません。
 

『闇の国々』翻訳者・原正人氏にインタビューしました!


まるで弐瓶勉のような勝手に増殖する無機質で謎な巨大構造物が登場するベルギー産コミックの超大作『闇の国々』。訳者で海外コミックに詳しい原氏に質問したところ、作者が弐瓶勉に言及しているかどうかは未確認とのこと。無念。
 
 
【関連ページ】

4Gamer.net ― フランス生まれのFPS「E.Y.E: Divine Cybermancy」を紹介して,なんとなくヨーロピアンな気分になれちゃう今週の「海外ゲーム四天王」


ヴィジュアル面で影響を受けたアーティストに弐瓶勉を挙げている海外ゲーム「E.Y.E: Divine Cybermancy」。アメリカ産のゲームとはもちろん、日本産のゲームともひと味違った雰囲気の超未来サイバーパンクゲーム。僕は未プレイなので、いつか機会があれば挑戦してみたいです。
 
【関連書籍】


 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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