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初音ミクやAKB48もヒップホップなのか?いまなお話題の1冊

昨年、当Bookニュースで新刊として取り上げた文化系のためのヒップホップ入門。驚くべきことにこの書籍、刊行後半年を経た現在もまだ人気が衰えた様子がない。文化系の考察の対象としてヒップホップを捉え、その魅力を独自の切り口で紹介する一冊だ。

 

 
最近本書を取り上げて話題になっているのは、ASCII.jpの四本淑三の「ミュージック・ギークス!」に掲載された著者インタビュー「日本生まれの初音ミク、アメリカ育ちのヒップホップ」だ。「とっつきにくさはあるが、魅力をいったん理解するとドッとハマってしまう」という点で初音ミクとヒップホップに共通点を見出している。フリーダウンロードというキーワードで、日本のネットレーベルの雄MaltineRecordsにも言及している。
 
この記事が元で立った2ちゃんねるのスレッドをまとめた記事はこちら「音楽専門家「初音ミクは、アメリカにおけるヒップホップと同じ存在である」」|やらおん!。「俺はヒップホップ嫌いだけど、同じくらいボーカロイドを嫌う人のことも理解できるのはそういう事だったのか。」というコメントがあり、なるほどそうか、と思わされる。

ASCII.jp:四本淑三の「ミュージック・ギークス!」

日本生まれの初音ミク、アメリカ育ちのヒップホップ【前編】

日本生まれの初音ミク、アメリカ育ちのヒップホップ【後編】

 
やらおん!

音楽専門家「初音ミクは、アメリカにおけるヒップホップと同じ存在である」

 
 
「ヒップホップは音楽ではなくゲーム」と断言する本書から、「AKB48はヒップホップである」という驚異的なテーゼを導き出すのが「AKBはヒップホップである – くりごはんが嫌いだ。コメント欄で現代美術界にも共通する「ハイコンテクスト文化」だ、という指摘があり、これは以前このBookニュースでも取り上げた『「当事者」の時代』の著者・佐々木俊尚氏も注目しているキーワードだった。ヒップホップ=ゲーム=AKB48=現代美術???!非常に刺激的な図式だが、これだと何でも語れてしまうので、ちょっと冷静に考える必要があるだろう。

AKBはヒップホップである – くりごはんが嫌い

 
 
上記の「栗ごはんが嫌い」でも触れられていたが、ヒップホップグループRHYMESTERのラッパーであり、ラジオパーソナリティとしても活躍している宇多丸氏は、自身が出演するラジオ番組で「やられた!」と脱帽していた。kenzeeのひとり忘年会: 文芸誌をナナメに読むブログ(書評)によると、かの山下達郎氏もファンクラブの会報で「今年の一冊」として絶賛していたという。
これらのほか、著者のひとり長谷川町蔵氏がtogetterで本書の感想をまとめたページもあるので、そちらも参照してもらいたい。
また、本書で紹介されている音源のYoutube動画をまとめたページもある。文中でどのように紹介されていたのかも引用されているので、音楽好きはこのページで概要を掴んでから本書に挑戦するといいだろう。
 
なお、当Bookニュースの読者に一定数いるであろう現代思想系に興味を持つ読者にはヤノ・オン・ウェブの紹介がオススメ。本書が「ポストモダニズム」とどのように距離をとり、他の類書と異なっているかを解説している。引用曲集はもあるが、こちらは実際に本を手元において読みたい。

ヤノ・オン・ウェブ:

長谷川町蔵・大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』が良かった!

 

– service&destroy

『文化系のためのヒップホップ入門』引用曲集#1

『文化系のためのヒップホップ入門』引用曲集#2

『文化系のためのヒップホップ入門』引用曲集#3

 
 
本書の版元であるアルテスパブリッシングも要注目だ。4月10日に第二号の発売が予定されている雑誌「アルテス」(特集は「アップルと音楽!」)や、Dommuneなどでも活躍しているDJでライターのサラーム海上氏の中東音楽ガイド『21世紀中東音楽ジャーナル』など、意欲的な本を多数刊行。
そのアルテスパブリッシング代表取締役の鈴木茂氏へのインタビューが「身の丈に合った出版活動と経営――話題の本・雑誌を続々と出す版元の底力に迫る」:ソフトバンク ビジネス+ITだ。前職の音楽之友社を退社してからアルテスパブリッシング設立、そして現在に至るまで短く簡潔に述べられている。
 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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