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いま最も注目の女性漫画家ヤマシタトモコ、未発表作品3作含む短編集

『このマンガがすごい!』2011年オンナ編で1位・2位を獲得し、いまもっとも注目されている漫画家となったヤマシタトモコ。マンガ好きを自認する読者で彼女を知らないひとはいないだろう。昨年「最近、面白いマンガ読んだ?」というお決まりの質問に対してヤマシタトモコの名前が挙がる確率はほぼ100パーセントだった。
 
そのヤマシタトモコの新刊が発売された。サタニック・スイートという短編集だ。雑誌未掲載の初公開となる貴重な三作品を含む全六作品を収録。うち四作品が投稿作。「なんでこれが雑誌に掲載されなかったの?」という傑作揃いの一冊だ。
 
サタニック・スイート

 
収録作品は次のとおり。
「edge of her」未発表作品
家庭の都合で突然親戚の男性と二人暮らしをすることになる女の子、というドントクライ・ガールを髣髴とさせる設定の一編。『ドントクライ~』では受け入れる側の男性が全裸で生活するド変態だったのに対して、本作の方はかなりノーマルなおじさん。テイストもギャグは控えめで、少女の低体温な思慕を描いている。
22,23歳ごろ、まだ大学生だったころの作品とは思えない、地味な作風。完成度の高さに驚かされる。
 
「イナズマ」未発表作品
「edge of her」と同時に投稿されたという作品。北野武監督の映画『キッズ・リターン』を思わせるストーリーで、男子高校生とヤクザの交流を描く。
 
「サタニック・スイート」未発表作品
ファンタジー色を少しだけ取り入れた作品。未発表だというのが信じられないほどクオリティが高い。作者本人も「いまだにとても気に入っている」と述懐している。これはリメイクして連載にしても人気が出そう。
二人暮らしの父親が借金を残して単身夜逃げ、一人で借金を返すために働くことになった少女をコミカルに描いている。「木刀にまたがり空を飛ぶ少女」というのは、本作でしか読めない設定だろう。
 
「ねこぜの夜明け前」
以下三作は月刊アフタヌーンに掲載されたもの。
本作は『夏目友人帳』や『百鬼夜行抄』のような、日常に妖怪が紛れ込んでしまう人の苦悩から、普遍的な感情の揺らぎを描く。『うしおととら』とかが好きな人にオススメしたい。
 
「ビューティフルムービー」
毎日に退屈している、映画館勤務の女性が主人公。自分の知り合いに彼氏を寝取られ、別れ話の真っ最中。ドロドロがまったくない、さっぱりとした雰囲気でストーリーが進んでいく。問題は何も解決しないけれども、読後感はとてもすっきりしている。
 
「MUD」
進学校に通う女子高生と、進学塾の講師との屈折しきった恋。ツンデレ萌えは必読の逸品。ー妄想と写実の入り混じった描写が楽しい。この作品も連載になったら面白いのになあ…

 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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