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高質なキッチュによって現代に蘇る冷たくて典雅な官能小説『菊燈台』

山口晃という画家が、澁澤龍彦という作家の『ホラードラコニア少女小説集成』に絵を描いていることは知っていた。山口にも澁澤にも惹かれるが、菊燈台を開いて見るまでは、この組み合わせを舐めていたことを白状しなければならない。

 

澁澤の小説が持つ冷たく異様な雰囲気を、山口の描き下ろしの緻密なイラストが、匂い立つような官能呼び起こす妖しいモノに錯覚させてしまう。典雅な趣味人であった澁澤が、おそらく終生もとめて得られなかった高品質の「キッチュ」が実現されているのだ。この本が刊行される現代に生まれたことを僕は感謝しなければならない。

 

 

澁澤龍彦は、サディズムの由来として名高いサド侯爵の紹介者として、知られていたが、晩年は日本古典文学を擬した文体で小説を発表した。現代でも多くのファンを持つカリスマだ。
山口晃は、五木寛之の新聞小説『親鸞』の挿絵を担当したり、デパートでの展覧会を成功させるなど、現代を代表する画家だと言える。そのスタンスは飽くまで軽妙、それでいて歴史の深み、人情味を失わない。
この二人を出会わせた『ホラードラコニア少女小説集成』は、平凡社ライブラリーのシリーズで、澁澤の独特の感性で書かれた小説を、彼が重視したテーマのひとつである「少女」で括って紹介するもの。毎回、現代美術家に挿絵を描かせており、組み合わせの妙を楽しめる。…それにしても、会田誠の作品「犬」をイラストに使った第一巻は衝撃的だ。

ジェローム神父』会田誠=絵

獏園』山口晃=絵

淫蕩学校』町田久美=絵

狐媚記』鴻池智子=絵

 

      

 

 
 
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当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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