読書ガイド「本が好き!」が運営するニュースサイト

異色の韓流野良猫ドキュメント『さよなら、猫よありがとう』

正直を言って、僕は猫好きではありません。むしろ苦手です。
可愛い顔、甘えた仕草、すべてを見透かしたような冷たい態度……猫好きになると痛い目を見るぞ、と僕の深層意識が警報を発するのです。
 
飼い猫ならば、飼い主に「僕は猫アレルギーなので(これはこれで事実です)、猫を近づけないでくれ」と頼んでおけば事足りるのですが、街中で突然野良猫に出会してしまったときなどは、こちらの心の準備ができていないので、つい情が揺らいでしまいます。痛い目を恐れながら、つい彼らの愛らしさに惹かれてしまう自分を否定することができません。こういうジレンマを抱えているのは僕だけではないんじゃないかと思っているのですが、実際いかがでしょうか。
 
そんなジレンマをガンガン刺激してくる悩ましい本が刊行されました。さよなら、猫よありがとうです。原書は、韓国のブログで連載されていた野良猫観察日記を書籍化したもの。
 

 
本書の構成は以下のとおり;
・ソウル郊外にある著者が住んでいた町の「野良猫なわばりマップ」
・20匹以上登場する猫たちに著者がつけた名前の由来や性格を紹介した「野良猫たちの履歴書」
・硬軟バランスがとれた端正な文章で綴られる観察記本文と野良猫たちの写真
 
著者の観察に基づく「なわばりマップ」は、本文と併せて眺めると、だんだんソウル郊外が身近になったように感じられます。そして「履歴書」を読むと、著者が野良猫たちのことを親しみを込めて観察していたことがよくわかります。
1年半分の観察記と写真は、野良猫生活のリアルな厳しさと、その厳しさを健気に生きる猫たちへの著者の愛情を同時に感じさせるもの。詩人でもあるという著者の表現力はさすが。その表現を自然な日本語に翻訳した訳者の方の熱意が伝わってきます。
 
本書は昨年、韓国で映画化もされたとのこと。

野良猫のドキュメンタリーをどうやって映画化したのか気になります。
「出演:野良猫たち」ということなので、本書に登場する猫たちの姿も見られるのかも知れません。
 
なお翻訳を担当したのは、ペ・ヨンジュンに代表される韓流アイドルの日本でのマネジメントを手がける会社の猫好き社員。ペ・ヨンジュン初来日にも関わった凄腕で、日韓を往復する多忙な生活のなかで原書に出会い、邦訳を決意したそうです。
全カラー約350ページ、写真も大量に収録されています。献本をいただいて(ありがとうございます!)最初に本を持ったときの感想はとにかく「重っ!」という感じ。これで1,600円はあきらかに安い。猫愛と本書への愛情の深さを味わえる分厚さ・重さです。猫が苦手な僕が読んでも楽しめる良書です。
 
ちなみに僕が好きな猫ネタといえばコレです(あきらかに野良猫ではないのも混じっていますが)。
何度見ても17番で笑います。
本書にもこういうドラマちっくで味わい深い顔つきの猫がたくさん載っていて、眺めているだけでも飽きません。
 
【関連書籍】
・内田百間『ノラや

 
・『ユリイカ2010年11月号 特集=猫 この愛らしくも不可思議な隣人

 
・西尾維新『猫物語

 
・『チロ愛死

 
 
==================================
【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
==================================
==================================
「BOOKニュース」では出版系のイベントからマニアックな新刊情報まで、
本に関する情報を収集して紹介しています。
ユニークな本を出される出版社様、
紹介させていただきたいのでBOOKニュース宛に新刊をぜひ送ってください!

twitterアカウント(@honzuki_news)でもときおり呟いております。
RSSフィード購読はこちら。

コメント

コメントをお寄せください。

コメントの投稿

コメント(必須)