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秋と冬はチョコレートの季節!【新刊】『失恋ショコラティエ 4』小学館

ヒューマンドラマなんかマンガで読みたくないんです。広い意味でのファンタジーを読みたいんです。非現実的なところを堪能したいんです。
その点、水城せとな氏の現行3つの連載作品のなかでもっとも「普通の人達」を描いた失恋ショコラティエは、退屈なヒューマンドラマのように思われるかも知れません。脳内会議の紛糾を描いた脳内ポイズンベリーや、100年以上生きるヴァンパイアたちを描いた黒薔薇アリスと比べたらそう思ってしまうのも仕方ないことは認めます。
違うんです。たしかに『失恋ショコラティエ』の登場人物たちはみんな「普通の人達」のように見えますが、彼らはいずれも物凄く抽象化された概念をあらかじめ矛盾するように組み合わされたキャラクターたちなのです。『失恋ショコラティエ』は現代の神話だと言って差し支えないでしょう。甘くコーティングされ、お花と美男美女の表層を持った闇金ウシジマくんだと言ったら怒られるでしょうか。
 
失恋ショコラティエ 書影
 
ダイヤモンド・ヘッド』文庫版の解説で、早稲田大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程単位取得満期退学・現在一橋大学非常勤講師のお笑い芸人サンキュータツオ氏が指摘していたような所謂「悪女」はもはや最近の水城作品には登場しません(いちおうメインヒロインのサエコさんが悪女キャラと言えなくもないのですが、本編をちゃんと読むととてもそうはいえなくなります)。人の弱さ・ズルさによる矛盾を体現していた「悪女」は、細かく裁断され、手塚治虫どろろのように無数の登場人物に埋め込まれることになります。誰もが「悪女」のようにズルく、しかし同時にとても弱い、それゆえに必然的にすれ違う。どのカップリングにも「痛み」と「甘さ」が同居しているという稀有な状況が実現するわけです。
それにしてもこの物語の終わりが想像できません。最新刊が出たばかりですが、早く続きが読みたい!(※なお、月刊『フラワーズ』で最新のストーリーを追うことはできますので、どうしても気になる方はそちらをどうぞ。他の掲載作品も珠玉です。)
 
【関連リンク】
黒薔薇アリス秋田書店 – 本が好き! Book ニュース
先月新刊が発売された水城せとな現行連載作品。
こちらも、壮大なスケールですれ違いまくる人々を描いていてたまりません。
 
試し読み | s-manga.net 脳内ポイズンベリー 1巻
『脳内ポイズンベリー』の試し読みができるページがありました。
 
水城せとなさん・失恋ショコラティエの4巻は力のカード!|神楽のお部屋。
男性ブロガーによる熱過ぎる書評。
「男子はこれを読め!読めば女子の気持ちが分かる!と、言うマンガや本は多数あるけど、それを読む前にこの「失恋ショコラティエ」を読め!」
とのこと。
ちなみに僕も『失恋ショコラティエ』を友達(♂)に薦めたら翌日には水城作品を10冊くらい買い込み、今回も僕よりも先にこの新刊を買ってしまうほどのファンにしてしまったことがあります。
女子の気持ちがわかるかどうかはともかく、オススメの作品です。
 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々とし、現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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