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【新刊】『黒薔薇アリス6』秋田書店

教え子との恋に悩んでいた28歳の晩生女性教師の魂が、見た目16歳のオーストリア貴族の少女(本当は116歳)の身体に宿って、127歳のイケメン(見た目は27歳)との恋に揺れる。
…どんな年の差恋愛なんだ。この一文だけ読むと完全に頭がおかしい感じがしますね。
 
入り組んだ恋愛物語を描かせたらたぶん当代右に出る者なしの水城せとな氏の現行連載3作品のうちのひとつ黒薔薇アリス秋田書店)最新刊が10月に発売された。
黒薔薇アリス6 書影
 
この第6巻で第一部完とのこと。
単に設定が複雑なだけではなくて、盛り沢山な設定をいちいち細やかな伏線にしていく手腕はさすが。
ヴァンパイアものといえば月刊コミックバーズに連載されているQUO VADISも無視できません。
『QUO VADIS』が壮大なスケールで展開する歴史スペクタクルだとすると、『黒薔薇アリス』は数人の閉じた関係を描いたものだといえます。
不死の者としてのヴァンパイア、そして独特の「繁殖」というシステムが、閉じている筈の人間関係を突き破って、100年間の何人もの人々の関係を結び付け積み重ねていき、やがて、冒頭に上げたような荒唐無稽な設定が説得力を帯びてしまうという物語。
愛とは何か、人とは何か、という、ともすればとても陳腐になってしまうテーマを真正面から扱いながら、フィクションならではの荒唐無稽な設定に説得力を与えてしまう。
実は真正面から問われているように見える「愛」や「人間」とは何かという問題よりも、作者にとって重要なのは、愛のようで愛かどうかわからない、人のようで人かどうかわからない、大上段に構えられたお題目に対して堂々と向き合うときの怯えた感覚や、その怯えを共有することで生じる、簡単には名付けられないような不思議な連帯感(あるいはその連帯感への希求)のほうなのではないかと思ってしまいます。
 
【関連リンク】
・本が好き! 書評 QUO VADIS~クオ・ヴァディス by nagata_n
知られざる名作『QUO VADIS』についての拙文です。参考までにご笑覧ください。
そういえば成人女性の魂が少女に宿っているという設定まで似てますね。
 
『黒薔薇アリス』 : 昆虫食ポータルサイト 「むしくい」
「今最も口に虫を詰め込んでいる少女マンガ!」として本作を紹介。確かに間違ってはいませんが…。
昆虫食を専門にしているだけに、興味深く鋭い分析を加えています。
 
おすすめマンガ時評『此れ読まずにナニを読む?』 NTT出版Webマガジン -Web nttpub-
元ガイナックス広報・現マンガエッセイストの川原和子氏による紹介。失恋ショコラティエの紹介も含まれています。
 
NTT出版webマガジンの連載、更新!! : マンガラブー
上掲の川原和子氏が水城氏の現行連載のもう一本脳内ポイズンベリーも絶賛してたので思わずリンク。
 
ウォーキング・デッド飛鳥新社 – 本が好き! Book ニュース
ドリフターズ2少年画報社 – 本が好き! Book ニュース
上掲の「NTT出版webマガジン」の連載で川原氏とともにレビューを連載している伊藤剛氏が主著テヅカ・イズ・デッドで述べていたような、「マンガのキャラクター」の不死性のせいか、不死という設定はマンガで一番よく映えるのではないかと思うようになってきました。
 
 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
最近は映画『モテキ』にメルツバウが出てこなかったことが気に障りました。
秋田昌美の本の装丁をしていた宇川直宏は一瞬出てきてたのに!
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