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【新刊】『イメージの地層 -ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』名古屋大学出版会

名古屋大学出版会(http://www.unp.or.jp/)は、9月にイメージの地層 -ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言を発売した。
 
近代の芸術観からはこぼれ落ちてしまう、奇蹟像・蝋人形・幻視などのような迷信に満ちたイメージの力を直視し、ルネサンスの多元性を蘇らせる「イメージの歴史人類学」の試み。
当時の人々がそこに残した痕跡や文化の記憶が織り成す複雑な地層を掘り起こし、芸術上の革新の背後にある、迷信的と言われた伝統的な観念との関わりを明らかにする。
 
現代フランスを代表する哲学者・美術史家のひとりであるジョルジュ・ディディ=ユベルマンのアビ・ヴァールブルク論残存するイメージの邦訳者の一人であり、デス・マスクの系譜学などを研究している水野千依氏によるA5判 920ページの大著。
 
イメージの地層 書影
 
目次
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序 章
 
第1章 聖なるものの地政学
      —— トスカーナ地方における聖母像崇敬の流行と変遷
   第1節 都市周辺部の聖母像崇敬
       1 チーゴリの聖母
       2 セルヴェの聖母
   第2節 都市-周辺部の力学
       1 インプルネータの聖母
       2 プリメラーナの聖母
   第3節 都市の聖母像崇敬
       1 オルサンミケーレの聖母
       2 サンティッシマ・アヌンツィアータの聖母
       3 ルバコンテ橋の恩寵の聖母
 
第2章 像の再活性化/無効化の力学
      —— 中世末以降の聖像の死後生と修復
   第1節 トスカーナ地方における奇跡像の修復 —— 聖母像を中心に
       1 聖なる身体の重ね描きと置き換え —— 様式概念と礼拝価値
       2 「芸術様式」 の時代における聖像の修復
          —— ネーリ・ディ・ビッチの 『覚書』 に見る修復的処理
   第2節 アルプス地方における奇跡像の修復
         —— 「聖クリストフォルス」 と 「主日のキリスト」 を中心に
       1 同一図像の重ね描き、反復/並置、アッサンブラージュ
       2 図像の横滑り
   第3節 像への冒瀆あるいは像の教育学
       1 像への検閲と図像の変容 —— 「主日のキリスト」 を例に
       2 教化としての冒瀆 —— イメージの教育学
 
第3章 痕跡と分身 —— ルネサンス肖像史再考
   第1節 ルネサンスの肖像とマスク
       1 《ニッコロ・ダ・ウッツァーノ》 問題
       2 ルネサンスにおける型取り肖像
   第2節 イマーゴ —— 「祖先の像」 と 「像による葬儀」
       1 古代のイマギネス
       2 ルネサンスにおけるイマギネスの残存
   第3節 余剰性と反転性 —— 分身としての肖像
       1 分身=コロッソスとしての肖像
          —— デヴォトゥス/ホモ・サケル/主権の身体
       2 過剰と反転 —— 像による神格化/像による懲罰
   第4節 エクス・ヴォート —— 死と蘇生の物神
       1 奉納像
       2 展示のポリティクス
       3 「分配される人格」 —— 崇敬と冒瀆のはざまで
       4 犠牲と贖罪 —— 死と蘇生の物神
 
第4章 「肉の目」 と 「心の目」 —— 「心の祈禱」 の実践と図像
   第1節 寄進者の肖像 —— ロレンツォ・ロット作対幅画
       1 作品の来歴と同定
       2 《キリストの母への暇乞い》 とエリザベッタ・ロータの肖像
       3 《キリストの降誕》 とドメニコ・タッシの肖像
   第2節 「新しい敬虔」 とイタリアにおける 「心の祈禱」
       1 北方における 「新しい敬虔」 と 「心の祈禱」
       2 イタリアにおける 「新しい敬虔」 と 「心の祈禱」
       3 イタリアにおける 「心の祈禱」 と図像
   第3節 サクロ・モンテ —— 「場の記憶」 と 「心の巡礼」
       1 サクロ・モンテの起源をめぐる状況
       2 サクロ・モンテ初期構想における 「トポミメーシス」 と 「心の巡礼」
       3 カイーミの 『四旬節説教』 にみる 「秩序」 と 「場の記憶」
       4 「場」 の模倣から 「奥義」 の演出へ
 
第5章 予言と幻視 —— ルネサンスの終末論文化における図像の地位
   第1節 「田園の聖母」 の顕現 —— 幻視と集合的トラウマ
       1 「田園の聖母」 のシナリオ
       2 幻視の伝達回路と図像イメージ
       3 集合的トラウマと幻視 —— 「執り成し」 の図像とその変容
       4 無効化される 「田園の聖母」 —— カトリックと改革派のはざまで
   第2節 「徴候」 としての怪物
       1 「予言的怪物」 のルネサンス
       2 解読される怪物たち —— イタリア戦争と予言文化
       3 怪物の形態学
   第3節 予言文化の終息とその残響
         —— サン・マルコ大聖堂とフィオーレのヨアキム
       1 サン・マルコ大聖堂のモザイク解釈をめぐる異端審問
       2 モザイクをめぐるもうひとつの裁判
       3 ヨハネ黙示録の図像の変遷とサン・マルコ大聖堂のモザイク
       4 サン・マルコ大聖堂におけるフィオーレのヨアキムの予言の伝統
       5 職人集団によるもうひとつの黙示録解釈
       6 サン・マルコ大聖堂のモザイクにおけるヨアキム的予言の継承
 
終 章
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【関連リンク】
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