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【新刊】『「大東亜共栄圏」経済史研究』名古屋大学出版会

名古屋大学出版会(http://www.unp.or.jp/)は、9月に「大東亜共栄圏」経済史研究を発売する予定。
 
日本帝国50年の歴史を通じて形成された植民地経済の構造と特質をふまえて、その最後の姿となった 「大東亜共栄圏」 の全容を初めて客観的に描き出す。
マクロ的数量データをもとに、交易や金融の実証的分析から、アジア各地に大きな影響を及ぼした円域経済の実態を捉える。
同著者による日本植民地経済史研究『「満洲国」 経済史研究 に続く、日本帝国史研究3部作の最終巻となる1冊。
 
大東亜共栄圏経済史研究 書影
 
目次
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   第Ⅰ部 「日本植民地帝国」 論
 
第1章 日本植民地帝国の展開と構造
  はじめに
  Ⅰ 「公式帝国」 の形成
  Ⅱ 「非公式帝国」 の拡大
  Ⅲ 南方進出と 「大東亜共栄圏」
  むすび —— 日本帝国の終焉 ——
 
第2章 近代日本帝国における植民地支配の特質
  はじめに
  Ⅰ 遅れてきた帝国
  Ⅱ 東アジアの帝国
  Ⅲ 帝国の皇民化
  Ⅳ 帝国の工業化
  むすび
 
第3章 日本植民地統治における 「同化主義」 の構造
  はじめに
  Ⅰ 「同化主義」 の対応概念
    1) 「同化主義」 対 「分離主義」 / 2) 「同化主義」 対 「協同主義」 / 3) 「同
    化主義」 対 「自治主義」
  Ⅱ 「同化主義」 に関する二次元モデル
  Ⅲ 「同化主義」 の日本的特質
  むすび
 
   第Ⅱ部 「大東亜共栄圏」 論
 
第4章 「大東亜共栄圏」 構想とその構造
      —— 「大東亜建設審議会」 答申を中心に ——

  はじめに
  Ⅰ 「大東亜共栄圏」 構想の成立
  Ⅱ 「大東亜建設審議会」 について
  Ⅲ 「大東亜建設審議会」 答申における 「大東亜共栄圏」 構想
    1) 大東亜経済建設基本方針 / 2) 大東亜産業建設計画 / 3) 大東亜物流金
    融基本政策 / 4) 「中核体」 対 「外郭体」
  むすび
 
第5章 「大東亜共栄圏」 交易論
  はじめに
  Ⅰ 「大東亜交易」 という構想
    1) 日中戦争と戦時経済統制の開始 / 2) 太平洋戦争と 「大東亜共栄圏」
    の建設 / 3) 「大東亜計画交易」 という概念
  Ⅱ 「大東亜交易」 の方式と体制
    1) 円域内交易 / 2) 対仏印およびタイ交易 / 3) 南方占領地交易 / 4) 交
    易営団の設置
  Ⅲ 「大東亜交易」 の統計的実態
    1) 「大東亜共栄圏」 交易の概要 (価額) / 2) 「大東亜共栄圏」 交易の概要
    (品目と数量) / 3) 「中国」 と 「南方」 に関する補足的考察
  むすび
 
第6章 「大東亜共栄圏」 と日本の対外収支
  はじめに
  Ⅰ 戦時期日本の対外収支統計
    1) 統計概観 / 2) 項目分類とその内容 / 3) 地域分類とその問題
  Ⅱ 戦時期日本の対外収支 (総括)
    1) 前史概観 / 2) 貿易 (交易) 収支 / 3) 貿易外 (交易外) 収支 / 4) 金
    銀収支 / 5) 収支不均衡の決済
  Ⅲ 戦時期日本の対外収支 (地域別)
    1) 統計概観 / 2) 対 「満洲国」 収支 / 3) 対蒙彊・華北収支 / 4) 対華
    中・華南収支 / 5) 対タイ・仏印収支 / 6) 対 「南方甲地域」 収支
  むすび
 
第7章 「大東亜金融圏」 論
  はじめに
  Ⅰ 「大東亜金融圏」 構想の成立
    1) 近衛新体制と 「基本国策要綱」 / 2) 太平洋戦争と 「我国対外金融政策」
    ノ根本方針ニ関スル件」 / 3) 大東亜建設審議会と 「大東亜金融財政交易
    基本政策」
  Ⅱ 「大東亜金融圏」 構想の工作
    1) 円系通貨圏の拡大 / 2) 双務的清算協定 / 3) 特別円制度 / 4) 日銀改
    組と綜合清算制度構想
  Ⅲ 「大東亜金融圏」 構想の崩壊
    1) 「大東亜金融圏」 の決済構造 / 2) 「円」 等価リンク政策とその矛盾 /
    3) 価格差調整の諸方策
  むすび
 
   第Ⅲ部 「南方共栄圏」 論
 
第8章 「南方圏」 交易論
      —— 市場から資源へ 貿易から交易へ ——
  はじめに —— 外南洋・南方・東南アジア ——
  Ⅰ 「南方圏」 交易前史 —— 1920年代・30年代 ——
    1) 地域別・国別概観 / 2) 商品別概観 / 3) 貿易摩擦の発生
  Ⅱ 「南方圏」 交易の形成 —— 占領地統合体制の整備 ——
    1) 「南方」 進出とその目的 / 2) 対蘭印・対仏印経済交渉 / 3) 「南方占領
    地」 経営方針 / 4) 「南方交易」 の体制整備
  Ⅲ 「南方圏」 交易の展開 —— 資源の内地還送を中心に ——
    1) 「南方物資取得三ヵ年計画」 / 2) 内地還送の実績 / 3) 石油の内地還送
    / 4) 南方への物資供給
  Ⅳ 「南方圏」 交易の崩壊 —— 資源の内地輸送を中心に ——
    1) 海上輸送力の喪失 / 2) 石油輸送線の切断 / 3) 終戦処理
  むすび —— 東南アジア貿易の復活 ——
 
第9章 「南方圏」 国民所得の推計について
      —— 解題・高橋泰蔵 『南方経済に於ける国民所得の推算に関する一資料』 ——

  はじめに
  Ⅰ 南方経済に於ける国民所得の推算に関する一資料
  Ⅱ 東京商科大学東亜経済研究所・南方派遣調査班
  Ⅲ 戦時期の国民所得推計と国家資力研究所
  むすび
 
附図 東京よりの等距離図
 
附表 戦時 「日本帝国」 関係略年表
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★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
1929年に端を発する世界大恐慌と、その後の列強各国によるブロック経済政策採用とが、第二次世界大戦の大きな原因となっているということは定説だと思います。
当時、アジアを代表する先進国たらんとして植民地を拡大していた日本帝国が提唱した経済圏が「大東亜共栄圏」です。
単なる経済的に閉じた世界を形成することが「大東亜共栄圏」の目的ではなかった、もっと世界の各民族の独立や多様な文化の尊重を意識した理想があった、とも言われており、依然としてその解明や再解釈、再評価の動きは止んでいません。
様々な関係者の思惑を錯綜させながら、文明開化したばかりの日本帝国が第二次大戦前夜に拡大させていった「大東亜共栄圏」が経済的にどのような実質をもって変遷していったのか、本書で学べることは多いと思います。
 
【関連リンク】
大阪市立大学大学院・早瀬晋三の書評ブログ :
 『「大東亜共栄圏」経済史研究』山本有造(名古屋大学出版会)

東南アジア史と近代日本・アジア関係史を研究している早瀬晋三氏のブログでの紹介。
 
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