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田中純氏、ル・コルビュジエ「最初の絵画」論を東京大学出版会「UP」に掲載

表象文化論研究者の田中純氏が、東京大学出版会(http://www.utp.or.jp/)のPR誌「UP」467号(2011年9月号)に、近代建築の三大巨匠の一人として知られるル・コルビュジエが描いた『暖炉』という絵画についての論考を掲載した。
 
本論は、かつてル・コルビュジエが本名のシャルル=エドゥアール・ジャンヌレを名乗って画家として活動していた頃に描かれた作品『暖炉』と、それにまつわる本人の日記や、建築家としてのル・コルビュジエのその後の思想を参照しながら、ル・コルビュジエにとっての「白」がどういうものなのかを明らかにする。
 
ジャンヌレたちは、ピカソやブラックに代表されるキュビスム以降の絵画形式として「ピュリスム(純粋主義)」を提唱していたため、この『暖炉』という作品もピュリスムの形式の「最初の絵画」と解釈することもできないではない、と田中氏はいう。
しかし、この絵画には後の名前であるル・コルビュジエとしても「最初の絵画である」という認定が書き込まれている。
このことから、田中氏は『暖炉』を単なるピュリスムの作品のひとつとしてではなく、建築家ル・コルビュジエ自身の思想にとってどのように重要な作品であるのかを追究。
その結果この作品に、柔らかく歪み、互いに融合しかけている形態と、それと同様に可変性をもった色彩としての「白」を見出す。
それはル・コルビュジエにとって根源的に重要な意味をもっていた。
 
UP9 書影
 
★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
近代建築というと、真っ白い壁、装飾を欠いた、機能性重視のもの、という印象があります。
その代表的な建築家であり思想家でもあったル・コルビュジエにとっての「白」がどのような理由で選ばれていたのか、本論はとても明快かつドラマティックに導き出しています。
退屈な単一色としてではなく、多色的な錯乱を白に見出すということは、建築に限らず、服飾や写真や映画にも言える汎用性の高い議論だと思いました。
 
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トピックス » 2011年「UP」目次:東京大学出版会
東京大学出版会PR誌「UP」の目次ページ。9月号の目次も見られます。

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