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【新刊】藤子F不二雄+藤子不二雄A『UTOPIA最後の世界大戦』小学館

小学館クリエイティブ(http://www.shogakukan-cr.co.jp/)は、8月に藤子F不二夫+藤子不二夫AUTOPIA 最後の世界大戦を発売した。
 
本書は、藤子不二雄の単行本デビュー作にして、最初で最後の描き下ろし単行本となった『UTOPIA 最後の世界大戦』の完全復刻版。
第3次世界大戦でS連邦が使った「氷素爆弾」により凍りついた地球を舞台に、シェルターに閉じ込められ100年後に蘇った少年が、氷素爆弾の被害から立ち直り、科学文明の発達したユートピアとして再建された世界を見つけるという物語。
 
UTOPIA 最後の世界大戦
 
本作は、もともと足塚不二雄名義で描かれ、手塚治虫の紹介で鶴書房での単行本化が決まったという経緯をもつ。
初版時は、表紙を大城のぼるが描きなおし、タイトルも「UTOPIA」から、「UTOPIA 最後の世界大戦」に改められ、ほかのマンガ家の作品とカップリングで1冊という変則的な形で出版された。
このため、これまで2度の復刻では、表紙を藤子・F・不二雄が新たに描き下ろし、カップリング作品や最後のページにあった別のマンガ家による描き加えを削除する形がとられていたが、今回の完全復刻版では松本零士が保存していた原本などをもとに、最新のデジタル技術でオリジナルの本文2色を細部まで復元している。
藤子不二雄A氏、松本零士氏へのインタビューや評論家・小野耕世氏の寄稿によって、本作のマンガ史的な重要性について検証する「UTOPIA読本」を付録として封入。
 
★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
本作は、藤子不二雄の最初期の作品です。
パッと見ると手塚治虫の影響が強く感じられるのですが、のちのスタイルを彷彿とさせる独特の表現もあり、この作品を描いた若い二人がやがて『ドラえもん』や『プロゴルファー猿』の藤子不二雄になっていくのだと思うととても感慨深いものがあります。
 
付録として封入されている「UTOPIA読本」も、多くの貴重な情報が凝縮された1冊。
マンガ研究家の中野晴行氏の文章が明らかにした、本作の初版の刊行までの経緯や藤子F不二雄(藤本弘)氏の複雑な想いは非常にドラマティックですし、藤子不二雄A氏の、高校を卒業してすぐの二人が本作を創りあげる過程を回想した文章も強く胸を打たれました。
また、原書の版元であり、『SFベストセラーズ』を刊行していたことでも知られている鶴書房について詳しく紹介した、ジュブナイルSF研究家の大橋博之氏による「鶴書房の奇跡の1冊」も必読です。
 
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UTOPIA 最後の世界大戦
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付録の詳細な紹介や、試し読みコンテンツ、原本の写真などを掲載しています。
 
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