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アメリカの公共ラジオ局NPRが、投票によるSFとファンタジーの人気作品ランキング「Top 100 Science-Fiction, Fantasy Books」を発表

[Text by 本が好き!Bookニュース編集部 ナガタ]
 
アメリカの公共ラジオ局National Public Radioが、投票による人気作品ランキング「Top 100 Science-Fiction, Fantasy Books」を発表しました。5000以上ものノミネート作品のなかから選ばれたのはどのような作品だったのでしょうか。
 
第1位は10年前に『ロード・オブ・ザ・リング』として映画化もされた指輪物語
指輪物語 書影
北欧神話などの影響を受けて第二次大戦前後に書かれた物語で、1950年代に出版され、1960年代にはアメリカで社会現象になるほどの成功を収めました。
なお本作の作者J.R.R.トールキンの親友C.S.ルイスの別世界物語は100位にランクイン。
日本で人気のナルニア国の物語よりも別世界物語のほうがアメリカでは人気があるようです。
また、トールキン自身のシルマリルの物語も46位にランクインしています。
 
第2位は銀河ヒッチハイクガイド
銀河ヒッチハイクガイド 書影
これも2005年に映画化されていますが、原作が1978年にイギリス国営放送BBCのラジオ4が放送したラジオドラマからスタートしたものなので、アメリカ公共放送局のNPRでの人気が高いことと関連づけて考えたくもなってしまいます。
物語の冒頭であっという間に地球が粉砕されるのには本当に度肝を抜かれました。
作者ダグラス・アダムスが自著のなかで一番好きだと言っていたこれが見納め― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景今年ようやく翻訳されています
 
第3位はエンダーのゲーム
エンダーのゲーム 書影
1980年代にSFの二大文学賞であるヒューゴー賞とネヴュラ賞を受賞した作品。
地球外生命体との長期にわたる戦争のただなかで、戦争を終わらせる者を育成するために天才児ばかりを集めた司令官育成学校を舞台にした物語。ネット社会の描写など、極めて先見性の高い設定が評価されたものと思われます。
ちなみに僕は何を血迷ったか、中学生のときに好きだった女の子に本書をプレゼントしてフられたことがあります。自分でも何をしたかったのかわからない。
 
第4位はデューンシリーズ。
1960年代に発表され、映画『スターウォーズ』にも強い影響を与えたといわれる作品。
本書もヒューゴー賞とネヴュラ賞を受賞しています。
映画『エル・トポ』で知られるホドロフスキーとデヴィッド・リンチによる映画化も有名。
 
第5位は氷と炎の歌シリーズ。
1996年に第1部が発表されて、現在も続刊中のシリーズです。
中世イギリスや薔薇戦争をモチーフにした架空戦記。
ベスト5にして現在進行形の作品がランクインしているという意味では要注目の作品と言えるでしょう。
 
そして第6位ジョージ・オーウェル1984年から第10位にランクインしているニール・ゲイマンアメリカン・ゴッズまで、ほぼディストピアものが連続します。
第8位のアイザック・アシモフファウンデーションシリーズは『銀河帝国の興亡』、『銀河帝国興亡史』とも知られている作品。
 
なお、10位までの一覧は下記の通り:
1位:指輪物語
2位:銀河ヒッチハイクガイド
3位:エンダーのゲーム
4位:デューンシリーズ
5位:氷と炎の歌シリーズ
6位:1984年
7位:華氏451度
8位: ファウンデーション三部作
9位:すばらしい新世界
10位:アメリカン・ゴッズ
 
100位までのなかには、多数の未訳作品なども含まれていて、これからの刊行を期待してしまいます。
なおいわゆるアメリカン・コミックのファンとしては、グラフィックノベルとしてタイム誌の長編小説ベスト100にもランクインしていたウォッチメンがこのランキングでも15位に入っていたのが嬉しいと思いました。
 
 
【関連リンク】
Your Picks: Top 100 Science-Fiction, Fantasy Books : NPR

当記事の元ネタです(英語)。錚々たる名作の英語版カヴァーを一望できます。
 
SF・ファンタジー小説ベスト100 – NAVER まとめ
NPRのランキングを元に各作品の日本語版書影をリストにしてあるページ。英語版と見比べると面白いです。
 
慶應義塾大学(アメリカ文学)・大串尚代の書評ブログ : 『SF文学』ジャック・ボドゥ 訳・新島進(白水社)
本が好き! ジャック・ボドゥ『SF文学』

文学としてのSFの解説書と、日本SF界の大御所・巽孝之氏門下の大串氏による書評です。
 
慶應義塾大学出版会 | リスクの誘惑 | 宮坂敬造 岡田光弘 坂上貴之 坂本光 巽孝之
その巽孝之氏が宮坂敬造氏とが故・小松左京氏にインタビューした「小松左京、リスクとその誘惑を語る――文学からSFへ、SF以後へ」などを収録。9月発売予定。
 
本が好き! 『3・11の未来――日本・SF・創造力』
笠井潔・巽孝之監修、海老原豊・藤田直哉編という強力ラインナップによる400ページ二段組という重厚な論集。
故・小松左京氏の絶筆となった序文「3.11以降の未来へ」を掲載。8月26日発売予定です。
SF Prologue Wave – 『3・11の未来 日本・SF・創造力』笠井潔 巽孝之監修 海老原豊 藤田直哉編
藤田直哉「小松左京追悼――小松左京の“愛”について」 – ビジスタニュース

上掲書の編者の一人でもある若手SF評論家・藤田直哉氏による同書へのコメント。
本が好き! 『S-Fマガジン 2008年 06月号』
藤田氏が今回のNPRのランキングで23位にランクインしたスティーヴン・キングの「ダーク・タワー」シリーズを論じ第三回日本SF評論賞・選考委員特別賞を受賞した「消失点、暗黒の塔」を掲載。なお本号の特集は「アーサー・C・クラーク追悼」。
 
本が好き! アーシュラ・K・ル=グウィン『いまファンタジーにできること』
今年8月に発売された、ル=グウィンによる最新の評論集。今回のランキングで1位になっている『指輪物語』を始め、ファンタジーの可能性を論じています。
ル=グウィン自身の著作闇の左手が45位、所有せざる人々が78位にランクインしています。

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