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【新刊】『ゾンビの作法 もしもゾンビになったら』太田出版

太田出版(http://www.ohtabooks.com/)は、9月7日にゾンビの作法 もしもゾンビになったらを発売する。
 
本書は、本邦初となる、ゾンビのための、ゾンビとして生きていくための指南書。
「人間の襲い方」「群れでのふるまい方」「仲間の増やし方」「ゾンビ自殺のやり方」などが紹介されている。
 
ゾンビの作法 書影
 
★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
本書は、読者がもしゾンビになってしまったらどうするべきか、を指南するというスタイルの1冊。
ロメロ監督『ゾンビ』が描くゾンビたちが現代の高度消費社会の無自覚な消費者たちのメタファーなのであれば、僕自身を含む大半の人はある意味でもうゾンビになっていると言えるのではないでしょうか。
先日は日本では国立感染症研究所にあたるアメリカ疾病管理予防センターが公式ブログで「ゾンビ対策マニュアル」を発表したことが一部で話題になりました。
日本では想像がつかないくらい、アメリカではゾンビの人気は高いようです。
 
下記の【関連リンク】にも挙げましたが、『ぼくのゾンビライフ』や、藤田直哉氏がブログで紹介していたような人間の自我がゾンビになっていく様子、あるいはゾンビになっても自我が残っているというような設定のもつ嗜虐的な可笑しみや、なんともいえない不気味な哀しさ、そういったものが人気の理由なのではないでしょうか。
社会学者で詩人でもある水無田気流氏もたいへん興味深い記事を書いています。
 
僕が最近知って驚愕したのが、登場するすべてのヒーローがゾンビ化するというアメコミのシリーズがあるということです。
これは、ダークナイトウォッチメンを読んだあたりから、最近のアメリカの「マンガ」シーンを調べていて発見した驚くべき現象です。
 
いわゆるアメリカン・コミックでは、原則として物語の作者と実際の絵を描く人が分業しており、キャラクターの著作権を出版社が持っている場合が多いため、同一のキャラクターの登場する物語を別々の人が書き、別々の人が描くという事態が生じています。
この事態を大々的に活用した、日本ではあまりメジャーではない「クロスオーバー」という手法があります。
たとえば、スーパーマンとバットマンが同じ作品に登場し、それぞれの正義観の違いに苦悩したりします。
この手法によって、使い古しになりかけたキャラクター造形に別の側面から光があてるなど、新しい解釈が可能になりました。
また複数人が物語を語り継いでいくために、必然的に設定に齟齬が生じやすくなり、整合性を求めた結果として平行世界を導入するなど、大規模なメタ構造が取り入れられるケースが出てきます。
その代表的なものがマーヴェルというレーベルで、複数の世界改変能力を持ったヒーローが心労やストレスによって暴走し、さまざまな並行世界にヒーローたちを送り込んだり、複数の平行世界が衝突したりしてしまう、というような話が登場してきました。
アメリカン・コミックスはまだまだ日本ではマイナーだと思いますが、たとえばエイジ・オブ・アポカリプス』シリーズはきわめて丁寧に翻訳されている稀有なシリーズです。
そして、この「クロスオーバー」と平行世界ものの極致として、すべてのヒーローがゾンビ化する「マーヴェル・ゾンビーズ」というシリーズが生まれました。
未訳のシリーズなので、いつか邦訳されることを期待してやみません。
 
【関連リンク】
『ぼくのゾンビ・ライフ』(太田出版)-映画化決定!スカーレット・ヨハンソン出演との噂もあり – 本が好き! Book ニュース
『ゾンビ映画大マガジン』洋泉社 – 本が好き! Book ニュース
『トーキングヘッズ叢書No.47 「人間モドキ~半分人間の解剖学」』書苑新社 – 本が好き!
『floating view ”郊外”からうまれるアート』先行発売 – 本が好き! Book ニュース
 
極私的ゾンビ論(第一回): 21世紀、SF評論
極私的ゾンビ論(第二回): 21世紀、SF評論
水無田気流「現実は虚構よりもホラー也――バイオハザード世界の読解」 – ビジスタニュース
アメリカでブレイクしたゾンビ対策記事と日本の放射能の意外な関係(エキサイトレビュー) – エキサイトニュース
 
Marvel Zombies 解説本:超円盤ゴミblog:So-netブログ

平行世界ですべてのヒーローがゾンビ化する「マーヴェル・ゾンビーズ」についての解説をしているブログ。
 
 
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【「本が好き! 編集部ナガタ」プロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
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