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【新刊】『無知な教師 知性の解放について』法政大学出版局

法政大学出版局(http://www.h-up.com/)は、8月に無知な教師 知性の解放についてを発売した。
 
本書の著者であるジャック・ランシエールは、近代の教育が知性の優劣という虚構によって人びとを序列化してきた、と主張する。
他者への侮蔑にもとづく「愚鈍化」の体制を批判し、現実の不平等に立ち向かう知性を得るために原理とはどのようなものなのか。
十九世紀の「無知な教師」ジョゼフ・ジャコトがめざした革命的教育の教えをモデルに、今日の「侮蔑社会」の泥沼からの解放を模索する。
無知な教師 書影
 
★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
哲学者として知られるジャック・ランシエール。
本書はその教育論であると同時に、思考すること一般についての論考でもあります。
何かを説明してくれる教師がいなくても、人は何かを学ぶことができる、という一見あたりまえのように思える事実について、その不思議さ、そしてこのことが教育の現場においてどのような意義を持つのかを緻密な理論で考察。
厳密でありながらとても平易な言葉遣いで書かれた本書は、人間の社会が必然的に理性から逸脱してしまうという悲観的な状況認識を持ちながらも、その状況下でどのように理性を保ち、話の通じない相手と互いに学び合うことが可能なのかという希望を論じています。
あまりに楽観的に思われる可能性のある思想ではありますが、かつてウィトゲンシュタインの厳格な他者論を引き合いにだして「教える者」と「教えられる者」との徹底的な他者性とコミュニケーション不全を議論した柄谷行人の思想と併せて読むことで、より建設的な議論を展開することができるのではないでしょうか。
 
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asahi.com(朝日新聞社):民主主義への憎悪 [著]ジャック・ランシエール – 書評 – BOOK

柄谷行人氏による『民主主義への憎悪』書評
 
INSCRIPT correspondence: 田崎英明:ランシエール『不和あるいは了解なき了解』書評
 
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