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【新刊】『北方文学 現代詩特集』玄文社-辻井喬氏、長谷川龍生氏、谷川俊太郎氏、吉増剛造氏らの作品も掲載

玄文社(新潟県柏崎市)は、6月4日に『北方文学』第65号「現代詩特集」を刊行した。

「現代詩特集」のため『北方文学』は国内の有名詩人に作品を依頼した。
その後、3月11日に東日本大震災が発生し、期せずして東日本大震災と原発事故に反応した詩人たちのアンソロジーとなったという。



購読申し込みは游文舎(http://www.mynet.ne.jp/yuubunsha/index.html)まで

★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
『北方文学』は、創刊50年を迎える総合同人誌。
本号には、辻井喬(本名:堤清二、元西武流通グループ代表、元セゾングループ代表)氏や、元日本現代詩人会会長の長谷川龍生氏、言わずと知れた谷川俊太郎氏、吉増剛造氏といった錚々たる現代詩人たちの作品が収録されています。
吉増剛造氏「静かな虚空―ジャン・ジュネ、三島由紀夫に捧げつつ、山口哲夫に」には圧倒されました。
また、新潟県内の16人の詩人らによる作品も単に「読み応えがある」と言うだけでは留まらない強い印象を残すものばかりです。


東日本大震災と詩と言えば、福島で被災した詩人の和合亮一氏が1万人を超えるフォロワーに向けてtwitterで投稿し続けた「詩の礫」と題する詩が話題になりました。
生活のインフラが大きく揺らぎ、社会不安が高まったとき、言葉の力が見直されてきているように思います。

【関連リンク】
『ヴァレリー集成Ⅲ 〈詩学〉の探究』筑摩書房 – 本が好き! Book ニュース
『詩という仕事について』岩波書店 – 本が好き! Book ニュース
本が好き! 『叙情と闘争―辻井喬+堤清二回顧録』辻井喬
本が好き! 『詩の礫』和合亮一
本が好き! 『詩ノ黙礼』和合亮一

※追記:柴野様からのご指摘をいただき、「創刊百年を迎える」を「創刊50年を迎える」に修正いたしました。たいへん失礼いたしました。

コメント

  1. 「北方文学」現代詩特集取り上げていただきありがとうございました。
    反響があるといいのですが……
    「創刊百年を迎える老舗の総合誌」とありますが「創刊50年を迎える総合同人誌」としてください。
    よろしくお願い申し上げます。

    • ご指摘ありがとうございます。修正させていただきました。
      たいへん失礼いたしました。

      多くの人に読んでもらいたい特集でした。
      個人的にここ数年「詩」の意味について考え直すことが多くなってきており、勉強させていただきました。
      (ナガタ)

  2. 「北方文学65号」の紹介をしてくださりありがとうございます。
    現代詩特集は創刊者で実質上の主催者である、吉岡又司さん念願の企画でした。しかしながら吉岡又司さんは、「北方文学65号」の刊行を見届けることなく5月30日に急逝されました。同人の一人として強い喪失感に襲われています。「北方文学」では21年前の40号でも現代詩特集をしています。吉岡又司さんが詩に書けた熱意をかけがえのない仕事として世に問うたものと考えています。一人でも多くの詩に関心を持つ人たちに読んでいただけるよう力添えください。

  3. 東日本大震災については、自分の想像力の乏しさ、語彙の貧しさを痛感しほとんど失語状態でした。そんな中、詩人たちが戸惑いながらも深く内省し、絞り出すようにして書いた詩は、私のイマジネーションを呼び起こしてくれました。言葉がここまで重い意味を持ち、詩の力がこれほど深く心を揺さぶるものだとは・・・。時を経ていっそう輝きを増すことでしょう。歴史に残る記念碑的な詩集だと思います。
    詩ではありませんが同人の大井邦雄氏の訳述「シェークスピアはどのようにしてシェークスピアになったのか」もすばらしい労作です。訳の何倍もの注は、日本のシェークスピア翻訳・研究史を丹念にたどり、批評し、原点に立ち帰って新たな思考と訳を提起する画期的なものです。
    地方の同人誌の底力を感じました。

  4. 「北方文学」65号が現代詩特集を組んでいる。新潟県内から16名、県外から26名、計42名の詩人が、基本的に各人刷上り4ページの紙幅を与えられて新作を発表している。ほぼ20年前の同誌40号の現代詩特集が15名の参加であったことを思い合わせると、今回の力の入れようがよく分かる。想定外の東日本大震災特集のようなものになってしまったと編集後記にあるが、もっともなことだ。「お前の作「マニのしごと」はまるであさっての方向を向いた南洋のお伽噺ではないか」という酷評を寄越した知友がいたが、私は既に3月末締切りの詩誌「回游」41集に「揺れる」という愚作を書いてしまっていた。これらについては改めて9月初め発行予定の個人詩誌「胚」35号に思いのままを述べてみたいと思う。

  5. 東日本大震災は未曾有の大災害であり、それに続く原発問題は未だ収束する様子も見えない。
    このような事態を、日本を代表する詩人たちが一堂に会してうたっている。
    人の心の深いところに触れる作品ばかりであり、ふだん詩を読まない人にも衝撃をもって迎えられると思う。
    「北方文学」65号の特集で、詩の根源的な力を感じることができた。

  6. 3月11日深夜にホテルオークラの廊下に二百人近くの避難者とともに横になっているところへ畏友、柴野氏から安否を問う電話をいただいた。そして今、一年計画で居を移したパリのアパートに北方文学が届いた。この時期に人間固有の共通財産である言葉に何が出来るか。言葉で悲しみをやわらげ、心をいやし、微かな希望をいだくことは可能だろうか。中越大地震で大きな被害にあい、被災市民の書籍を泥の中から洗い出し整理中の玄文社、其処が北方文学の発行元だ。力作の並ぶ中、編集後記の”復旧、復興”の言葉は聞き飽きた。決して戻らないものがある。そのことを文学は語らなければならない。虚構の上に成立している現代文明の悪しき部分を”復旧、復興”させてはならない”は柴野の災害に対するレクイエムであり言葉に対する決意、希望だろう。米国の友人、ジェフリーアングレスの日本語による作品が掲載された。秀でた翻訳者である彼が時をおかず日本語に託して想いを綴ってくれた。言葉にまた希望が持てた。

  7. 吉増剛造氏から写真とメモ(何というメモだ)で構成された「PUNCTUM TIMES」15号が届いた。題して「REQUIEM-深い水の惑星の亀の島(ハヤ、龍宮ヘノ、……)巡礼の旅、……」。「北方文学・現代詩特集」に寄せられた「静かな虚空(あおそら)」と相補的な関係にある作品だ。東日本大震災と大津波、そして原発事故以来書き続けているという膨大なメモ(何というメモだ)をもとにした作品だ。内省の中で幾度も幾度も立ち止まりながら思いを馳せる。そして洪水のような、津波のような言葉の氾濫に至る。どちらも大震災以降に書かれた最も重要な作品のひとつとなるだろう。吉増氏は9月に新詩集を刊行する。http://punctum.jp参照を。

  8. 先のコメントに中越大地震としたのは中越沖地震の誤り、訂正してください。7月14日はフランス革命記念日で華やかな軍事パレードが展開される。参加するジェット戦闘機はまさに現在リビアに空爆を重ねているしろもの。軍事パレードの行われるシャンゼリゼでは”バカンスに北アフリカへ!!”
    と旅行代理店各社がパックツアーの最後の投売り(一週間、航空運賃、ホテル代、三食込みで10万円以下!!)が並ぶ。
    メトロには”英語を話せなくては生きていけない”と言った文句の英会話学校のつるし広告がならぶ。
    北方文学がいち早く水村美苗の”日本語が亡びるとき”の評論をくわえていたことを思い出した。言葉に対して真摯に取り組まなくてはならないと自分の書いた文章を読み直しながら考えている。

  9. 吉増剛造さんの「新聞」=『PUNCTUM TIMES』を出している寺本です。柴野様ありがとうございます。『北方文学』さんに掲載されている吉増剛造さんの文章は、今回のPUNCTUM TIMESのメモとは「姉妹編」となっております。ご興味がございましたらぜひお願いいたします。

  10. 東日本大震災の特集になっているが、これが震災の直後に現れた最初の特集になってしまった。
    未曾有の災害をTVなどの媒体からストレートに強烈に届けられたときの一瞬のことばの喪失を、ただちに詩へと立ち上がらせた詩人の初期の発語がここにある。震災から四か月を経ながら癒えない心象を引きずって、今も詩の書き手達はことばをさがしあぐねている。およそ詩に限らずこれからは小説、短歌、俳句のそれぞれの手段で震災以後は書かれるだろう。だが、3.11の直近で書き起こされた詩語には出逢えない。北方文学65号以外には。
    新潟県という地方の土壌にあってもそこにとどまってはいない事をこの一冊の号が自らを語るふうである。

  11. 「北方文学」拝受いたしました。見事なという以上に奇跡のような一冊です。3.11の重さを、その日に日本人が受けた衝撃の強さとその後の自国への深い失望を、悲しくも鮮やかに抱き込んだ、そういう一冊でございました。  合掌
                         富山県富山市の同人誌「渤海」同人・山口馨様よりのお便り

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