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【新刊】『クジラ解体』春風社

春風社(http://shumpu.com/)は、7月15日にクジラ解体を発売する。
 
本書は、「解剖さん」と呼ばれるクジラ解体の専門家たち、猟師や古式捕鯨の史跡、クジラ料理、息絶えたクジラの姿などを納めたもの。
「クジラを食べ、クジラと共に生きる日本の人々を24年にわたり撮影した迫真のドキュメンタリー写真集(amazon「内容説明」より」。
モノクロ写真約120点からなる大型本。
巻末には捕鯨を取り巻く情勢について、写真家・小関新人氏による丁寧な解説が付されている。
 
クジラ解体 書影
 
★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
生き物の死を見つめるのはとてもつらいことです。
ましてそれが、人間が利用するために殺している場合は尚更つらい。
しかし、僕はこんな写真集の刊行をずっと心待ちにしていました。
残酷なシーンを興味本位で覗き見たいというわけではありません。
巨大な生物に人間が挑み、そして利用し尽くそうとする姿に興味があるからです。
捕鯨といえば、昨今話題のシーシェパードの標的として有名ですが、その過激な運動の背景にある思想史的な問題を扱ったエコ・テロリズム―過激化する環境運動とアメリカの内なるテロを、本書と併せて読まれることをお薦めします。
 
また、羽良田平吉氏による贅を尽くした装幀と、高山宏氏による図像解釈学的アプローチによる「遊弋する図像 クジラのイメージ瞥見」などを掲載したクジラとイルカの心理学も是非。
その超絶的とすら言える知識から学魔とすら呼ばれる高山氏は、かつて若かりしころ、修士論文でメルヴィルの白鯨を扱っていました。
その『白鯨』でも言及される旧約聖書のなかで、神を裏切って逃げた預言者ヨナをリヴァイアサンと呼ばれる巨大な魚(=クジラ)が飲みこむという話があります。
リヴァイアサンから吐き出されたあと、ヨナが異教徒を改心させて滅亡を回避させるという筋書きで、旧約聖書を聖典とするキリスト教とイスラム教の、その世界宗教的側面の基礎になっていると言われています。

【関連リンク】
本が好き! メルヴィル『白鯨』
本が好き! たむらしげる『クジラの跳躍 (TamuraShigeruCollection)』
シロナガスクジラの画像を実物大で見られるページ(WDCS – Life size blue whale – the largest animal in the world)

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