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【新刊】『岡倉天心と大川周明』山川出版社

山川出版(http://www.yamakawa.co.jp/)は、5月27日に『岡倉天心と大川周明』を発売した。

アジアとは、どこからどこまでなのか。
アジアという概念について、二人の知識人を分析し、近代日本にとってのアジアの意味を考える。

岡倉天心と大川周明 書影

★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
明治維新以来、もっぱら英語と美術教育によって「日本」や「アジア」の進むべき道を模索し先導しようとしていた岡倉天心。
そしてその岡倉天心の影響を強くうけ、第二次大戦後には民間人として唯一のA級戦犯として東京裁判に起訴された大川周明。
この二人の、精力的な活動を本書はとてもわかりやすく丁寧に紹介します。
本書の冒頭では明治維新以前の「アジア」の概念の歴史を早足で紹介しているのですが、これがとても明晰。
まずはギリシャ起源の言葉としての「アジア」、そしてそれを引き継ぐ「オリエント」「東方」というヨーロッパ中心の見方が発達したことを紹介。
次にそういった「アジア」観を日本人がどう捉え返していたのかを、本居宣長らを引きながら概説します。
政治的/戦略的に境界を画定し、その範囲を明らかにすることが重要だったヨーロッパの「アジア」「オリエント」「東方」という見方に対して、日本人にとっては日本と近隣諸国の関係が重要で、むしろ「アジア」の指し示す範囲は常に曖昧だった、と本書は指摘します。

また、そのような曖昧な「アジア」観がどうして岡倉や大川のような、当時の日本の知識人たちに必要だったのか、そこにどのような国際的な期待があったのか、そして岡倉や大川の思想にどのような矛盾があったのかをも本書は冷静に指摘します。

「アジア」っていう言葉の指し示す領域って凄く多様だし、とてもいい加減な括りだなあ、もう全世界的に使うの止せばいいのに、と思っていた僕ですが、この本を読んでだいぶ意識をあらためさせられました。

【関連リンク】
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『世界美術への道 岡本太郎の宇宙 5』(ちくま学芸文庫) – 本が好き! Book ニュース
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