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これからの時期にぴったりの10冊(初夏~梅雨~夏編)

<BOOKニュース編集記者ナガタによるコラム>

初夏です。

さて、初夏を過ぎると、梅雨、そして夏本番が待ち構えています。
ということで、そんな これからの時期にぴったりの10冊 を集めてみました。

1)ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
夏への扉 書影


これはやばいです。胸がしめつけられます。さすがSFの古典中の古典。何度読んでも新鮮というのはこのことでしょう。
夏の切なさのすべてがここに凝縮されていると言っても過言ではありません。
古典の例に漏れず、各社からのヴァージョンが多く出ているため、書名・書影からのリンクは検索結果の一覧ページになっています。
それぞれに「本が好き!」会員様が書評してくださっているので、ぜひチェックしてみてください。
なお、原作(英語の原文)と併せて読める『夏への扉 [英語版ルビ訳付]』もあります。
この夏に、原文原作の読破に挑戦してみてもいいかも。




2)遠藤徹『壊れた少女を拾ったので』
壊れた少女を拾ったので 書影


さわやかな1冊目を挙げたので、2冊目には「怖い話」的な位置づけのものを挙げてみました。
怖い、といっても、 「ほんとうは怖いはずだし、気持ち悪いような気もするのだけれど、どこかしら可笑しいし」 という不思議な不気味さを味わえる作品です。
夏は夏でも、夏の黄昏時の、独特の不安な感じを思い出させてくれるというか。
著者の遠藤徹氏は『プラスチックの文化史』『ポスト・ヒューマン・ボディーズ』などの「変形するもの」に注目した研究書を出していましたが、小説家としてのデビュー作『姉飼』で第10回日本ホラー小説大賞を受賞し、一部で物議を醸しました。川端康成文学賞や、日本推理作家協会賞の候補にも挙げられたことがあります。
現代の美術にも詳しい著者らしく、どの書籍も表紙が素敵。




3)望月峯太郎『万祝<まいわい>』(全11巻)
万祝 6巻 書影


……ちょっとグロすぎるのを挙げてしまった気がするので、今度はまたグッとさわやかに夏らしく、「海」と「冒険」をテーマにしたこの作品を。
望月峯太郎氏 は望月ミネタロウ名義の『東京怪童』もそこはかとない夏っぽさがありますが、あんまり不気味方面に偏ってしまうのもな、という懸念があり、『万祝<まいわい>』のほうを挙げました。書名と書影のリンク先は第6巻です。表紙が一番好きなので。
『万祝』はどの巻も表紙が綺麗なので、検索結果一覧ページでまとめて見てもらうと楽しいです。
元気すぎるくらい元気な中学生の鮒子が、伝説的な船乗りだったお祖父ちゃんが残した宝の地図を手に、海賊の争いに巻き込まれたり、淡い恋のような憧れのような感情を抱き、成長していく物語。
超巨大鮫との格闘が出てきたり、まさに王道!今年の夏はこれで乗り切りましょう!
とはいえ、もちろん『ドラゴンヘッド』『座敷女』の作者でもある望月が、単なる王道に終始するお話を描くわけがありません。
海賊の背景や航海の恐ろしさなどの描写はさすがの迫力。ちなみに暴風雨のシーンもあるので、梅雨や台風のときにもバッチリかも。




4)飛浩隆『グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉』
グラン・ヴァカンス 書影


永遠の夏の砂浜のある町、シミュレートされた仮想リゾート「数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)」を舞台に、人工知能の主人公たちが仮想世界の崩壊に立ち向かう。
仮想世界が舞台になっていることを思わず忘れてしまうほどに繊細な描写が、実に印象深い作品です。
頬に陽射しを受けているように感じたり、一陣の風に吹かれているような気持ちになることもしばしば。
だからこそ、クライマックスに向けての展開の緊張感の重さは言いようのないリアリティを持ってきます。
主人公たちが暮らす仮想世界は「夏の区界」と呼ばれているのですが、「苦界」といえば仏教用語で「この世」のこと、つまり…とつい深読みしてしまいました。
夏の陽気にあてられてちょっとはしゃぎ過ぎたかなというときに手にとってみて、SFの深遠に嵌まり込んでください。
なおSFファンには続編の短編集『ラギッド・ガール』もオススメです。




5)中沢康彦『星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?』
星野リゾートの事件簿 書影


実在の超名門旅館を舞台にして、破綻したホテルが再生するまでを描く本書。
夏休みに避暑の出かける読者の方も多いかと思いますが、お泊りのホテルや旅館の背景に思いをめぐらせてもいいかも知れません。




6)鈴木志保『船を建てる』上下巻
船を建てる 上巻 書影

船を建てる 下巻 書影


鈴木志保氏の作品は繊細な線で描かれることが多くて、まるでページが軽く薄い素材で作られているような印象を受けます。
その白い画面は、とても強い光で表面が見えなくなっているだけだったり、わざと切り詰めた象徴的な意味が秘められていたり、よくよく見つめていると、だんだんとページをめくる手が遅くなるような魅力があります。
湯浅政明が映像化した『ねこぢる草』に通じる、うだるような暑さのなかで視る白昼夢的な感覚。
少しだけ熱に浮かされたいときにどうぞ。




7)『idea (アイデア) 2011年 05月号 特集:羽良多平吉 イエス・アイ・スィー』
アイデア 羽良多平吉特集 書影


錚々たる面々が特別寄稿しており、伝説的なエディトリアルデザイナー羽良多平吉氏の仕事が「これでもか!」とまとめられている驚異的な1冊。
補色を駆使する彩色やモノクロを活用して作り出す独特のデザインは、夏の空気感にぴったり。
朝から晩まで、圧倒的な仕事を眺めてぼーっとして過ごしたいものです。
僕は発売日に2冊買いました。もう1冊欲しいくらいです。




8)草思社『雲のカタログ 空がわかる全種分類図鑑』
雲のカタログ 書影


本書は、日々の空模様を写真に撮ってアップし続けていた著者のブログを書籍化したもの。
等身大の目線から空を捉えることで、空や雲の見え方が変わってくると思います。
事典の老舗である東京堂出版から最近発売された『身近な気象の事典』と併せて読むと面白そうです。
『身近な気象の事典』は日本気象予報士会が編集を手がけ、一般の人から気象予報士までを対象とした入門的かつ本格的な内容。
梅雨、台風、真夏の気候を肌で感じながら、どのような気象になっているのかに思いを馳せるのは素敵な季節の楽しみ方だと思います。




9)たむらしげる『クジラの跳躍』
クジラの跳躍 書影


本書は、いわば大人も読める絵本。
作者のたむらしげる氏自身がアニメ化した作品は、1998年の文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門大賞を受賞しました。
作中の季節は夏ではなく、むしろ冬のようにも見える涼しい感じなのですが、どことなく夏の涼しい夜に見る夢のようにも感じられます。
夏の夜半などにふと時間に余裕ができたときにパラパラと眺めてみると、一服の清涼剤のような効果が得られるでしょう。




10)シェイクスピア『真夏の夜の夢』
真夏の夜の夢 書影


10冊目はやっぱり古典でシメたいと思います。
ユーミンや野口五郎や松田聖子やスガシカオやLAZY KNACKの歌のタイトルに使われ、押井守も映画『アヴァロン』で題材にとった名作中の名作。
シェイクスピアほど有名な古典になるとどういうわけか読むのに躊躇してしまいがちですが、いざ読み始めてみると意外に面白くてあっというまに読み終えてしまうもの。
教養といって肩肘張らずに、ちょっと挑戦してみてはいかがでしょうか。僕も読みなおしてみます。

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