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ビジュアル系に魂を捧げる女子達!今、明かされる「バンギャル」文化

僕は何故かバンギャルを尊敬している。バンギャルとは、おもにヴィジュアル系バンドのファンをやっている女子のこと(男性の場合は「バンギャル男」)。彼女たちを僕がなぜ尊敬しているのかは、十数年にわたって自分で考えているのだけれど、いまだにわからない。バンドとバンドマンたちに懸ける彼女たちの熱意と、その熱意からくる圧倒的な知識、そしてその熱意と知識を下支えする鬱屈した社会に対する違和感というかドロドロの情念的なものに対して、憧れのようなものがあるのかも知れない。
 
さて、そんなバンギャルを12歳の頃から13年も続けているという著者によるウェブマンガが、大量の大幅加筆のうえ書籍化される。バンギャルちゃんの日常というタイトルだ。
 

 
前半は、著者のバンギャ道開眼の頃の話。「好きなバンドがテレビ出演しても学校で友達と話が合わない」という、インターネット普及前を感じさせるエピソードも。ちなみにテレビにヴィジュアル系バンドが出た時の、バンギャル流の楽しみ方が紹介されているので、これを参考にしてテレビを観ると楽しいかも知れません。
 
他にも、必死にラジオを聞いたり、雑誌を介して文通をしたり、今ではオンライン化されているんだろうけど、やっぱアナログなほうが風情があっていいなあーという描写も。(ネットとの衝撃の出会いについても本書で言及されている箇所があります。これはこれで胸が熱くなる)
ちなみに男性ヴィジュアル系ファンだった僕も似たような経験があり、なんか物凄く色んな思い出が蘇りました。「同じ趣味を持つ人と交流したい」というだけの動機で、ほんとに色んな方法でアンテナを張り巡らし、根気を振り絞ったものです。
このあたりは、コミケなどで集合して情報を交換したり熱い議論を戦わせるオタクの皆さんとも深く共通するところだと思います。アナログな「思い出の品々」が、他人には触れられたくない「黒歴史」と化してしまうところとか特に。
 
この他にも、「人気バンドマンの誕生日の集会でホールケーキを食べて勝手に祝う」など、バンギャルの皆さんの生態がいろいろと紹介されています。「集会」のために、著者のようなごく普通の女子が「着飾って同好の仲間と集まって楽しい思い出を作る」というイイ話で読んでてちょっと目頭が熱くなったのですが、バンギャルにあんまり興味ない人からすると普通にイタい内容なのでしょうか。ちょっとリサーチしてみたい気持ちになりました。
 
ところで本書は、バンギャルの皆さんのことが書かれているだけではありません。というか、バンギャルの生態を描くために、必然的に傍から観たら完全に謎なヴィジュアル系の文化についても紹介しています。僕が一番衝撃を受けたのは、「振り付け講座」。最初期はVHSの時代にまで遡るという説もありますが、要は「ライブでファンが踊るための動き」をメンバー自らが解説している動画のことです。

 

 
楽しそう。
こういうフリをマスターして、会場で渾然一体となることでライブを楽しむわけですが、そのライブの描写も凄い。上掲のとおり、絵柄は非常にほのぼのとしている本書なのですが、さすがにバンド愛に溢れているだけあって、ライブが始まる時の表現には迫真のものがあります。「ライブを見に行く」ことを彼女たちは「参戦する」というのですが、その表現も納得の熾烈な「楽しみ方」も紹介されていて、流血の結果「殉職」するバンギャルたちもちらほら。冒頭に書いたような、僕のバンギャルの皆さまに対する尊敬の念というのは、こういう過酷な戦い(?)のなかで、互いを戦友として認め合っているという、どこかカッコいい感じに惹かれているのかも知れません。何か、ラーメンの二郎のように、過酷ゆえに中毒性がある、そういうシーンのような気もします。
 
なお、最近はすっかり知名度が高まっているゴールデンボンバーも振り付け動画があります。凄く凝ったフリになってます。これ無理ですよ!覚えられませんよ!…でも覚えるんですね、それが愛なんですね…
それにしても「歌広場淳」て凄い名前ですねこのメンバーの人…

 
動画が進むにつれて言葉が乱暴になっていくのがテンションあがってる感じでいいですね。「踊ってるときに、いちばん大事なのは、笑顔と、あふぅっ…」って、いちばん大事なのは、何なんでしょうか!?ともあれ、これを毎曲やるのは相当体力を使いそうです。
さて、ここまで読んでいただいたら、もう一度、書影を見てみてください。この表紙はステージ側から見た会場のバンギャルの皆さんが描かれているのですが、愛と情念を糧に、こういうハードな楽しみ方をみんなやってるんだ、と思うと、何か凄くアツい表紙に見えてきませんか。
 
なお、本書の編集を担当された清水さん(男性)は、元々ヴィジュアル系に興味なかったらしいのですが、本書を担当してヴィジュアル系文化に詳しくなった結果、合コンでモテたらしいです。考えてみると、僕はヴィジュアル系バンドが好きでそこそこ聞いていますが、バンドに詳しくなっても別にモテないんです。バンドそのものよりも、その文化全般を広く知っている方がいいのかも知れません。

 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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