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【速報】「物語生成装置」東京論が海猫沢めろん氏のサイトに掲載!

本日、作家の海猫沢めろん氏のサイトでlife感想戦「東京論2012」が掲載された。これは5/27日に海猫沢氏が出演したラジオ番組「Life」に関連した記事なのだが、そこに作家・海猫沢めろんの物語生成装置としての東京論とも読める内容が書かれていたので当Bookニュースでも速報的にご紹介したい。
 
僕がいま一番注目している作家は誰かと聞かれたら、海猫沢めろん氏を挙げる。
もちろん、6月下旬に新刊が出る予定の樺山三英氏も凄く気になっているけれど、「厨二臭」という点では海猫沢氏が圧倒的に魅力的だ。
 

海猫沢氏の最新連載が掲載された「ゲンロンエトセトラ#2」(サンプル)
海猫沢氏による渾身の露悪趣味全開の作品が1ページだけ読める。グロ注意。
自らも小説家として作品を発表している批評家東浩紀氏が敢えてハード路線で執筆を依頼したという本作、まだ連載第一回だが、今後の展開が非常に気になる。
 
ヤケクソなテンションで様々なジャンルの文化を取り込み、高圧力でゴッタ煮にする海猫沢氏の作風を一番わかりやすく味わうには、架空の歴史を辿った1990年代の日本を舞台に、2人の少女がバイクで疾走しまくる零式を読むことをオススメしたい。

 
そんな海猫沢氏が5/27に社会学者の鈴木謙介氏、ライターの速水健朗氏らのラジオ番組「Life」に出演した。番組のテーマは「東京論2012」。今回の記事はこの番組に関連したものなのだ。
 
「帝都が好きです。でも上京したら帝都じゃなかった! まさに「東京Illusion」(BY Λucifer)!」という冒頭から、トークに関連した書籍を挙げ、最後は勝手にリクエスト曲を挙げて締めくくっているこの記事で、海猫沢氏は自らの東京論を展開している。
 
ちなみにΛucifer(リュシフェル)は2003年に解散したヴィジュアル系バンド。海猫沢氏はヴィジュアル系にも詳しい!詳しいというか、ヴィジュアル系が歌うような退廃的なフィクショナルな世界観と、自身の作家としての生活の頽廃と、現実世界の荒廃を、見事にリンクさせて描いているところが海猫沢氏の素晴らしいところだ。
 
この海猫沢氏の記事は、海猫沢作品の下地を形成しているインフラを自ら開示した内容になっている。特に「物語生成装置」としての東京に明示的に言及しているところは無視できない。
 
インフラとしての都市は、独特の「風景」を持つ磁場として物語と登場人物に影響を及ぼす。
そのような「風景」を対象にした論考や作品を収録した、映画監督の佐々木友輔氏ら「トポフィル」というグループによる論集floating viewが興味深い。
 
『floating view』の副題は「”郊外”からうまれるアート」であり、これは一見、首都である東京の風景とは無関係であるように思われるかも知れない。
しかし、佐々木氏たちが『floating view』で論じたかったのは、東京などの大都市と区別されるいわゆる「郊外」ではなく、テレビや映画などメディアや交通機関の発達によって、あたかも浮遊するかのように「風景」を大都市圏にも侵入させてしまう郊外のイメージだ、と僕は読んでいる。
端的に言って、都内に生活していても、たまに「あれ、ここって郊外みたいじゃない?」と感じる、あの状況だ。

(ちなみに佐々木氏もヴィジュアル系好きだということは書いておこう。)
 
そこでもう一度、海猫沢氏の記事を読んでみよう。そこには、外部から人や文化が流入し、時代とともに変転する東京の姿が語られている。まして、彼が中心的に論じているのは「フィクションの中の東京」である。それは外部に身を置きながら東京を描いていた人たちが作り出した虚構の東京像であり、そういったイメージを東京在住の人々が自己パロディとして演じて見せるような姿ではないだろうか。
 
これはある友人からの指摘で気付いたことなのだが、小説家の菊地秀行氏と、その弟でジャズ・ミュージシャンの菊地成孔氏の2人を思い浮かべると、この地方で作られた虚構の東京像が、実際の東京を侵食していくという構図が理解できるかも知れない。
 
千葉県出身のこの兄弟は、大都市「東京」の幻影を、実に魅力的な虚構として描き出し、多くの人に影響を与えている。
例えば菊地秀行氏のデビュー作にして代表作である魔界都市〈新宿〉は、大震災後の新宿を舞台に繰り広げられる物語だ。エロティックで暴力的で、オカルト的な「東京」のイメージが描かれている。

 
また、弟の菊地成孔氏はスタイリッシュなモダン・ジャズを吹きこなし、他方で山下洋輔氏の弟子としてフリー・ジャズにも通暁している。それだけではなく、兄の菊地秀行にも負けず劣らずの想像力で、主に歌詞とエッセイの方面で言語的・詩的に魅力的な世界観を展開している。

 

(菊地成孔氏が率いるDCPRGと東京ザヴィヌルバッハという2つのジャズ・バンドの動画。「前衛的で複雑な、でもどこかしらセクシーでキャッチー」というイメージが「東京」という都市のイメージを強烈に意識させる)
 
なお、僕が「東京」をテーマに曲を選ぶとしたらこの一曲。Buck-Tickの曲で、その名も「Tokyo」!サビの歌詞で連呼される「サイバートーキョー」という単語がアツい。

 
ちなみに「サイバー東京」といえばこれ↓

かつてペヨトル工房から刊行されていた雑誌「WAVE」の特集「サイバー・シティ東京」号。
東京サイバー・キッズ(飴屋法水氏×いとうせいこう氏)、サイバー・パンク・カルチュアを[読む](巽孝之氏)など、今でも読んでて面白い一冊。
 
【関連書籍など】


 
 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
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