読書ガイド「本が好き!」が運営するニュースサイト
登録年月「3月2012」で絞り込み表示

ヒトラー誕生日会の鉤十字ケーキは美味かった?『ケーキの歴史物語』

「ケーキとは何か」。この問題について真面目に考えたことのある人とは、美味しいティータイムを過ごせそうだ。この問いは、自明なようでいて非常に難しい。ケーキ屋に足を運んで、ショーケースに並べられたケーキを目の前にして、それが「ケーキである」ことはわかるのだが、「どうしてそれをケーキと呼べるのか」自信をもって語ることはできない。
 
「ケーキとは概念なのだ」と断言する著者による新刊ケーキの歴史物語は、このケーキという概念の歴史を辿る。しかしこの歴史、紆余曲折奇々怪々で単線的に追うのが難しい。たとえば日本語ではケーキとして一括りにされることの多い英語「ケーキ」と仏語「ガトー」、そして独語「タルト」、この3つの単語が指すものはそれぞれ異なっているらしい。
また本書によれば、ケーキの概念は古代史まで遡ることができるが、現代的なケーキ概念の直接的なルーツはある種の高価な特製パンだったとのこと。20世紀末のイギリスでは、ケーキとビスケットの定義をめぐって政府と製菓会社が裁判沙汰を起こすことがあったが、歴史的にはパンとケーキの区別がなかなか複雑だったようだ。
 
(続きを読む…)

とれたて!近刊情報(2012年3月22日)

本日とれたての近刊情報から、ナガタが気になったタイトルをピックアップしてお届けします。
 

遺伝子と性行動~性差の生物学』表紙・目次あり

樹木ガイドブック

漱石と歩く、明治の東京

 
本が好き!らぼ「近刊情報サーチ」新着情報一覧より。

切なさと美しさと。アンデルセンからしらほし姫まで、人魚本の色々。

「人魚」というものにセクシーな印象を持っているのは僕だけでしょうか。人魚は、上半身裸の美女(ただし下半身はサカナ)の姿で描かれる事が多いので、そういう刷り込みがあるのかも知れません。
 
先日刊行された日本の人魚像- 『日本書紀』からヨーロッパの「人魚」像の受容まででは、井原西鶴の『武道伝来記』や伝説に登場した人魚像を中心に、『六物新志』など博物学や民俗学の観点から人魚を扱った文献も取り上げ分析したもの。日本の「人魚」像の形成に影響を与えたと推測される日本以外の地域の文献、例えば古代中国の地理書『山海経』やアンデルセンの童話「人魚姫」等も取り上げています。
 
(続きを読む…)

ステーキ、書評、刑務所図書館。先週の人気書評ランキング

「本が好き!」の週間人気書評ランキング(3/13~3/19)。
 
今回も第1位ははにぃさん。4週連続の第1位です。すごい。
今回はにぃさんが書評したのはステーキ! – 世界一の牛肉を探す旅。この本、肉食好きの友人が読んでいたのでとても気になっていたのですが、「一流シェフによる干し草ソースのステーキ」は気になります!食べたい!
 
第2位は風竜胆さん水曜日は狐の書評 ―日刊ゲンダイ匿名コラム
「本が好き!免許皆伝」の称号を持つ風竜胆さんをして「このような書評を目指している」と語らしめる、随筆家・山村修の書評。僕も拝読して参考にしたいものです。
 
第3位はぱせりさん刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記と、風竜胆さんのアインシュタインの神
ぱせりさんによる『刑務所図書館の人びと』の書評は胸に迫ります。風竜胆さんの『アインシュタインの神』書評は自身で「「誤読日記」してるかも」という内容ですが、書評だけ読んでも面白いです。
 
5位はかもめ通信さんカモメに飛ぶことを教えた猫 (白水Uブックス)。コメント欄のやり取りが「本好き」ならではのマニアックさで楽しいです。
 
6位は今週は4本。ぽんきちさん日本の色辞典、風竜胆さんの逆説の日本史〈12〉近世暁光編更夜さん今日もていねいに。
、そしてのらねこさんシンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)
『日本の色辞典』は僕も欲しいです。近々刊行予定の日本史色彩事典のことを思い出しました。書評の中で紹介されている、源氏物語に登場する色だけを集めた源氏物語の色辞典もとても興味深いです。
 
今回は、「本が好き!免許皆伝」がもうひとりランクイン。ぷーとちゃーさん開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―。読み応えあります。オススメ。
 
 
  (続きを読む…)

とれたて!近刊情報(2012年3月21日)

本日とれたての近刊情報から、ナガタが気になったタイトルをピックアップしてお届けします。
 

呪術の人類学

 
本が好き!らぼ「近刊情報サーチ」新着情報一覧より。

高質なキッチュによって現代に蘇る冷たくて典雅な官能小説『菊燈台』

山口晃という画家が、澁澤龍彦という作家の『ホラードラコニア少女小説集成』に絵を描いていることは知っていた。山口にも澁澤にも惹かれるが、菊燈台を開いて見るまでは、この組み合わせを舐めていたことを白状しなければならない。

 

澁澤の小説が持つ冷たく異様な雰囲気を、山口の描き下ろしの緻密なイラストが、匂い立つような官能呼び起こす妖しいモノに錯覚させてしまう。典雅な趣味人であった澁澤が、おそらく終生もとめて得られなかった高品質の「キッチュ」が実現されているのだ。この本が刊行される現代に生まれたことを僕は感謝しなければならない。

 

 

澁澤龍彦は、サディズムの由来として名高いサド侯爵の紹介者として、知られていたが、晩年は日本古典文学を擬した文体で小説を発表した。現代でも多くのファンを持つカリスマだ。
山口晃は、五木寛之の新聞小説『親鸞』の挿絵を担当したり、デパートでの展覧会を成功させるなど、現代を代表する画家だと言える。そのスタンスは飽くまで軽妙、それでいて歴史の深み、人情味を失わない。
この二人を出会わせた『ホラードラコニア少女小説集成』は、平凡社ライブラリーのシリーズで、澁澤の独特の感性で書かれた小説を、彼が重視したテーマのひとつである「少女」で括って紹介するもの。毎回、現代美術家に挿絵を描かせており、組み合わせの妙を楽しめる。…それにしても、会田誠の作品「犬」をイラストに使った第一巻は衝撃的だ。

ジェローム神父』会田誠=絵

獏園』山口晃=絵

淫蕩学校』町田久美=絵

狐媚記』鴻池智子=絵

 

      

 

 
 
【関連書籍】


 
 
==================================
【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
==================================
==================================
「BOOKニュース」では出版系のイベントからマニアックな新刊情報まで、
本に関する情報を収集して紹介しています。
ユニークな本を出される出版社様、
紹介させていただきたいのでBOOKニュース宛に新刊をぜひ送ってください!

twitterアカウント(@honzuki_news)でもときおり呟いております。
RSSフィード購読はこちら。

とれたて!近刊情報(2012年3月19日)

本日とれたての近刊情報から、ナガタが気になったタイトルをピックアップしてお届けします。
 

産む身体を描く~ドイツ・イギリスの近代産科医と解剖図』目次あり

宮澤賢治の俳句

「ガード下」の誕生~鉄道と都市の近代史

ノルベルト・フライ『1968年~叛乱のグローバリズム

 
本が好き!らぼ「近刊情報サーチ」新着情報一覧より。

吉本隆明氏と現代書家との対談集『書 文字 アジア』

「書」の見方がわからない人が意外と多い。見方が分からなくても、とにかく感じたまま好き嫌いを語れば良いのではないか、と僕は思う。しかし、感じたまま語ろうにも、果たして目の前にしているその「書」を、自分が好きなのか嫌いなのかすらわからない、ということなのかも知れない。つまりどうでもいいというのだ。
 
実際のところ、「書」はどうでもいいものではない。どういうことなのか。先日刊行された吉本隆明と石川九楊の対談集書 文字 アジアを紹介しながら説明してみたいと思う。
 
(続きを読む…)

とれたて!近刊情報(2012年3月16日)

本日とれたての近刊情報から、ナガタが気になったタイトルをピックアップしてお届けします。
 

福田恆存対談・座談集 第五巻 ~芝居問答

近世日本とルソン~「鎖国」形成史再考

 
本が好き!らぼ「近刊情報サーチ」新着情報一覧より。

虚妄に満ちた正義の歴史。佐々木俊尚新刊『「当事者」の時代』

佐々木俊尚氏はWEB上の一部方面ではトンデモ呼ばわりされる。今日発売された「当事者」の時代も、そこではトンデモ本と呼ばれるだろう。
 
いろいろすっ飛ばしているのだ。鳥居しかなくて鬱蒼とした森が祀られている空間から古代日本の精神を説く。スーパーミステリーマガジン「ムー」かよ、と思った。バキュームカー数百台を動員し「中身をぶちまける」元赤軍派リーダーのエピソードもある。
 
大丈夫なのか、この本は。
 

 
佐々木氏が、古代日本や過激派の革命闘争までをも持ちだすのには理由がある。そこには、他人に成り代わって「正義」を名乗ること、そのことで得られる快感やエンターテイメントの根深い闇がある。本書の本題はマスメディアと、彼らの正義、その虚妄の告発だ。本書は日本の、虚妄に満ちた正義の歴史と言ってもいい。
 
佐々木氏が告発するこの虚妄の正義の歴史を、ここでは以下のように整理してみよう。 (続きを読む…)