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【新刊】『イメージの地層 -ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』名古屋大学出版会

名古屋大学出版会(http://www.unp.or.jp/)は、9月にイメージの地層 -ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言を発売した。
 
近代の芸術観からはこぼれ落ちてしまう、奇蹟像・蝋人形・幻視などのような迷信に満ちたイメージの力を直視し、ルネサンスの多元性を蘇らせる「イメージの歴史人類学」の試み。
当時の人々がそこに残した痕跡や文化の記憶が織り成す複雑な地層を掘り起こし、芸術上の革新の背後にある、迷信的と言われた伝統的な観念との関わりを明らかにする。
 
現代フランスを代表する哲学者・美術史家のひとりであるジョルジュ・ディディ=ユベルマンのアビ・ヴァールブルク論残存するイメージの邦訳者の一人であり、デス・マスクの系譜学などを研究している水野千依氏によるA5判 920ページの大著。
 
イメージの地層 書影
 
目次
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序 章
 
第1章 聖なるものの地政学
      —— トスカーナ地方における聖母像崇敬の流行と変遷
   第1節 都市周辺部の聖母像崇敬
       1 チーゴリの聖母
       2 セルヴェの聖母
   第2節 都市-周辺部の力学
       1 インプルネータの聖母
       2 プリメラーナの聖母
   第3節 都市の聖母像崇敬
       1 オルサンミケーレの聖母
       2 サンティッシマ・アヌンツィアータの聖母
       3 ルバコンテ橋の恩寵の聖母
 
第2章 像の再活性化/無効化の力学
      —— 中世末以降の聖像の死後生と修復
   第1節 トスカーナ地方における奇跡像の修復 —— 聖母像を中心に
       1 聖なる身体の重ね描きと置き換え —— 様式概念と礼拝価値
       2 「芸術様式」 の時代における聖像の修復
          —— ネーリ・ディ・ビッチの 『覚書』 に見る修復的処理
   第2節 アルプス地方における奇跡像の修復
         —— 「聖クリストフォルス」 と 「主日のキリスト」 を中心に
       1 同一図像の重ね描き、反復/並置、アッサンブラージュ
       2 図像の横滑り
   第3節 像への冒瀆あるいは像の教育学
       1 像への検閲と図像の変容 —— 「主日のキリスト」 を例に
       2 教化としての冒瀆 —— イメージの教育学
 
第3章 痕跡と分身 —— ルネサンス肖像史再考
   第1節 ルネサンスの肖像とマスク
       1 《ニッコロ・ダ・ウッツァーノ》 問題
       2 ルネサンスにおける型取り肖像
   第2節 イマーゴ —— 「祖先の像」 と 「像による葬儀」
       1 古代のイマギネス
       2 ルネサンスにおけるイマギネスの残存
   第3節 余剰性と反転性 —— 分身としての肖像
       1 分身=コロッソスとしての肖像
          —— デヴォトゥス/ホモ・サケル/主権の身体
       2 過剰と反転 —— 像による神格化/像による懲罰
   第4節 エクス・ヴォート —— 死と蘇生の物神
       1 奉納像
       2 展示のポリティクス
       3 「分配される人格」 —— 崇敬と冒瀆のはざまで
       4 犠牲と贖罪 —— 死と蘇生の物神
 
第4章 「肉の目」 と 「心の目」 —— 「心の祈禱」 の実践と図像
   第1節 寄進者の肖像 —— ロレンツォ・ロット作対幅画
       1 作品の来歴と同定
       2 《キリストの母への暇乞い》 とエリザベッタ・ロータの肖像
       3 《キリストの降誕》 とドメニコ・タッシの肖像
   第2節 「新しい敬虔」 とイタリアにおける 「心の祈禱」
       1 北方における 「新しい敬虔」 と 「心の祈禱」
       2 イタリアにおける 「新しい敬虔」 と 「心の祈禱」
       3 イタリアにおける 「心の祈禱」 と図像
   第3節 サクロ・モンテ —— 「場の記憶」 と 「心の巡礼」
       1 サクロ・モンテの起源をめぐる状況
       2 サクロ・モンテ初期構想における 「トポミメーシス」 と 「心の巡礼」
       3 カイーミの 『四旬節説教』 にみる 「秩序」 と 「場の記憶」
       4 「場」 の模倣から 「奥義」 の演出へ
 
第5章 予言と幻視 —— ルネサンスの終末論文化における図像の地位
   第1節 「田園の聖母」 の顕現 —— 幻視と集合的トラウマ
       1 「田園の聖母」 のシナリオ
       2 幻視の伝達回路と図像イメージ
       3 集合的トラウマと幻視 —— 「執り成し」 の図像とその変容
       4 無効化される 「田園の聖母」 —— カトリックと改革派のはざまで
   第2節 「徴候」 としての怪物
       1 「予言的怪物」 のルネサンス
       2 解読される怪物たち —— イタリア戦争と予言文化
       3 怪物の形態学
   第3節 予言文化の終息とその残響
         —— サン・マルコ大聖堂とフィオーレのヨアキム
       1 サン・マルコ大聖堂のモザイク解釈をめぐる異端審問
       2 モザイクをめぐるもうひとつの裁判
       3 ヨハネ黙示録の図像の変遷とサン・マルコ大聖堂のモザイク
       4 サン・マルコ大聖堂におけるフィオーレのヨアキムの予言の伝統
       5 職人集団によるもうひとつの黙示録解釈
       6 サン・マルコ大聖堂のモザイクにおけるヨアキム的予言の継承
 
終 章
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【関連リンク】
アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮 [新装版]青土社 – 本が好き! Book ニュース
天使と悪魔 美術で読むキリスト教の深層青土社 – 本が好き! Book ニュース
人のイメージ―共存のシミュラークル (初期ネーデルラント美術にみる〈個と宇宙〉 1)ありな書房 – 本が好き! Book ニュース
エロスとグロテスクの仏教美術春秋社 – 本が好き! Book ニュース

【新刊】『輿(こし) (ものと人間の文化史)』法政大学出版局

法政大学出版局(http://www.h-up.com/)は、9月に輿(こし) (ものと人間の文化史)を発売した。
 
「輿(こし)」は、天皇をはじめとする貴人の乗用具として、古代から明治初期まで、千二百年以上にわたって用いられてきた。
その延長としての神輿(みこし)は、神の乗り物として現在の祭礼にも受け継がれている。
本書は、その種類と変遷を探り、天皇の行幸や斎王群行、姫君たちの輿入れ、さらには葬送における使用の実態を明らかにするとともに、輿を担いだ人々の生活や諸外国の人担乗用具にも言及するもの。
 
輿(こし) (ものと人間の文化史) 書影
 
目次
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 まえがき
 
第1章 乗り物としての輿
一 日本での輿の変遷
  奈良時代まで/平安時代/鎌倉時代/室町時代/江戸時代
二 婚礼の輿
  姫君たちの輿入れ/東福門院入内行列/和宮降嫁
三 諸外国での人担乗用具
  中国/朝鮮/ヨーロッパ/インド/その他の国々
 
第2章 輿の種類
一 輿の特徴
  鳳輦(鸞輿)/葱花輦・葱華輦(華輿・華輦)/腰輿・手輿
  /板輿/網代輿/張輿/塗輿/小輿/塵取/女房輿/
  大井川での蓮台
二 輿の備品と通行
三 輿の所蔵
 
第3章 輿の使用実態  
一 天  皇
  行幸の成立/大王の「ミユキ」と奈良時代の行幸/平安時代
  の行幸/鎌倉・室町時代の行幸/聚楽第行幸/二条行幸/
  賀茂・石清水行幸/明治天皇の行幸
二 斎王群行と斎王代
  斎王群行/群行の道中/伊勢斎宮でのつとめ/帰京/
  賀茂斎院
三 諸家など
  公家/褒賞としての輿/武家/社僧/朝鮮通信使と琉球使節
四 輿を継承した使用例
  神輿/棺・龕/擔輿/雉輿/菖蒲輿/担架─現代の腰輿
 
第4章 輿を担ぐ人たち
一 駕輿丁
二 四府駕輿丁座
三 八瀬童子
四 洛中洛外図屏風にみる駕輿丁
五 近世の駕輿丁
 
第5章 輿と日本文化
一 明治以降への輿の継承  
二 交通史における輿
  
 あとがき
 参考文献
 輿関係年表
 索  引
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【関連リンク】
神輿大全誠文堂新光社 – 本が好き! Book ニュース
神輿の基礎知識から、神輿の種類、神輿の見方、制作過程、飾り紐のかけ方・選び方、手入れ・保管方法、修理などを網羅。
神輿・太鼓・山車・獅子舞用品などの祭礼具の製造販売や修理・復元及などを行っている、150年の歴史を持つ老舗・宮本卯之助商店が協力した1冊。
 
歴史文化ライブラリー320 江戸の寺社めぐり 鎌倉・江ノ島・お伊勢さん吉川弘文館 – 本が好き! Book ニュース
江戸時代には、多くの人々が、鎌倉・江ノ島・お伊勢さんなどの名所めぐりに出かけ、旅の大衆化が進んでいた。
ご利益・名所見物・グルメ・お土産など、行動文化の視点から、江戸時代の寺社めぐりを描き出す。
 

【新刊】『テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論』みすず書房

みすず書房(http://www.msz.co.jp/)は9月にテクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論を発売した。
 
〈ポジティブ・フィードバック〉〈収穫逓増〉〈ロックイン〉などの新概念を経済学に導入し、テクノロジーに依存した産業の振るまいを的確に描写した鬼才W・ブライアン・アーサーが描く、イノベーションの未来。
 
複雑系理論の開拓者のひとりである著者が、テクノロジーの生成と進化の姿を重層的に理論化し、今後の産業を見通すパラダイムを提供する。
ドメイン、構造の深化、機会のニッチ、生成経済など、想像力を刺激せずにはおかない、数々のモチーフが鳴り響く、新たなテクノロジーを生成するためのメタ理論。
 
テクノロジーとイノベーション 書影
 
目次
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はじめに
 
第1章 疑問
欠けているもの――テクノロジーの「学」/テクノロジーにおける進化/組み合わせ進化/本書のテーマ
 
第2章 組み合わせと構造
どのようにテクノロジーは構造化されるのか/どうしてモジュール性なのか/再帰性とその結論
 
第3章 現象
テクノロジーの本質/目的のあるシステム/現象を取り入れる/テクノロジーと科学
 
第4章 ドメイン――目的を達成させる世界
ドメイン化/言語内の語句のような設計/入り込んでいる世界
 
第5章 エンジニアリングとその解決法
標準エンジニアリング/問題解決としてのエンジニアリング/組み合わせと解決法/構成要素となる解決法
 
第6章 テクノロジーの起源
新しいテクノロジーとみなされるのはどんなものか?/基底となる原理を発見する/概念を現実的な形に変える/現象を発端とする発明/発明の核心にあるものは何か?/因果関係のピラミッド/科学と数学における発明/発明と新しい構成要素
 
第7章 構造の深化
内部構造の交換/構造の深化/ロックイン現象と適用範囲の拡大
 
第8章 変革とドメイン変更
ドメインはいかに進化するか/経済におけるドメイン変更/経済における時間の流れ/イノベーションと国家的な競争力
 
第9章 進化のメカニズム
テクノロジーの組み合わせ/機会のニッチ/コアメカニズム/進化の実験/進化の新たな形態とは
 
第10章 テクノロジーの進化に伴う経済の変化
テクノロジーの表現としての経済/構造変化/問題から解決策を導く
 
第11章 テクノロジー――この創造物とどう共存するか
生物学になるテクノロジー、テクノロジーになる生物学/生成的な経済/〈純然たる秩序〉対〈不格好な生命力〉/テクノロジーにどう向き合うのか
 
謝辞
監修者あとがき
原注
参考文献
索引
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【関連リンク】
テクノロジーとイノベーション 進化/生成の理論 [著]W・ブライアン・アーサー
- 山形浩生(評論家、翻訳家) – 書評 – 書評・コラムを読む – BOOK asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

 
情報時代の到来―「理性と革命の時代」における知識のテクノロジー法政大学出版局 – 本が好き! Book ニュース
電気の歴史 人と技術のものがたり東京電機大学出版局 – 本が好き! Book ニュース
ウィーナー サイバネティックス――動物と機械における制御と通信岩波書店 – 本が好き! Book ニュース
文系人のためのエネルギー入門: 考エネルギー社会のススメ勁草書房 – 本が好き! Book ニュース
情報セキュリティの思想: インターネットにおける社会的信頼の創造勁草書房 – 本が好き! Book ニュース
メディア論 ブックガイドシリーズ 基本の30冊人文書院 – 本が好き! Book ニュース
ソーシャルゲームはなぜハマるのか ?ソフトバンククリエイティブ – 本が好き! Book ニュース
デジタルサイネージ入門東京電機大学出版局 – 本が好き! Book ニュース
 
本が好き!  W.ブライアンアーサー『収益逓増と経路依存―複雑系の経済学
本が好き! ルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィ『一般システム理論―その基礎・発展・応用

【新刊】『テキスタイルとは何か  ──隠されたメッセージへの旅』フィルムアート社

フィルムアート社(http://www.filmart.co.jp/)は、9月にテキスタイルとは何か  ──隠されたメッセージへの旅を発売した。
 
ファッション業界の現在を紹介しつつ、そこに著者自身のライフワークである中央アジアのテキスタイルの歴史や多様性への知見を織り交ぜていく論考。
シルクロードの中心で、古くから東西文化の合流地点でああった中央アジア。
遊牧民たちの民族衣装をめぐって、ファッション・クリエーションの原点と可能性、21世紀のデザインを探る。
 
テキスタイルとは何か 書影
 
目次
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はじめに
──遊牧の民のあしあとをたどって
 
1…………テキスタイルデザインという仕事
ファッションデザインはテキスタイルから始まる 
華やかなファッション産業のものづくりの現場 
情報収集力と分析力を活かす企画のしかた
世界のファッショントレンドが組み立てられるしくみ
  色のトレンド/糸のトレンド/見本市での調査と買い付け
見本市で経験したこと
テキスタイル・クリエーター八箇条
厳しい日本のものづくりの中で
すぐれたテキスタイルデザイナーとは
 
2…………なぜ、テキスタイルが大切なのか
「人は生まれた時から死ぬ時まで布とともにある」
テキスタイルにみる“おしゃれ”の原点
素材の大切さ、ものを生み出す力
素材・スタイル・時代性の切っても切れない関係
服装と、生きる力と人間力
これからのテキスタイル・クリエーション
新しい取り組み、新しい可能性
世界が示す日本のテキスタイルへの評価
“ものづくり”という日本の活路
 
3…………テキスタイルのルーツと隠されたメッセージ
ファッションの源泉、テキスタイルの源泉
中央アジアの歴史をたずねて
テキスタイルの意匠表現のルーツ
中央アジアの代表的な配色とモチーフ
山岳地帯の少数民族の代表的な配色とモチーフ
インドの代表的な配色とモチーフ
色に込められた意味
  1 階級/2 年齢/3 職業・職位/4 民族、部族、家族
文様に込められた意味
  縞模様・ストライプ/ドット・水玉模様/丸のモチーフ/植物のモチーフ/動物のモチーフ
加工テクニックの表現
  艶加工/刺繍/キルティング/イカット
 
4…………西洋と東洋の合流地点で花開いたファッション
中央アジアの歴史と背景
遊牧民文化をたどる旅へ
ファッションアイコンとしての遊牧民衣装と装飾品
東洋の織物と西洋のプリントを合体させたデザイン
着こなしと重ね着
アクセサリーと装飾の意味
  女性用1 ヘッドドレス/女性用2 イヤリング/女性用3 ブレスレット/女性用4 帽子
  男性用1 大刀・小刀/男性用2 ベルト/男性用3 帽子/男性用4 ブーツ/男性用5 髭/男女共通 パンツ
必須アイテムとしての馬と駱駝
  乗馬文化としての側面/馬の装飾/駱駝の装飾
 
5…………生活の中に息づく中央アジアのテキスタイル
生活を「布」で彩ってきた遊牧の民たち
遊牧民たちの住居の飾りかた
現代に受け継がれるスザーニ
世界でも類を見ない精巧な手仕事・掛け布
ヴァリエーション豊かなテキスタイルのアイテム
遊牧生活で大活躍するキリム絨毯
テキスタイルに込められた意味
生活に根付くテキスタイルの多様な素材
 
6…………中央アジアで出会ったファッションのクリエーション
中央アジアの装飾文化にいざなわれて
フランス・グランがもたらしたヒントとチャンス
ウズベキスタン滞在記
歴史を学び、秘められたメッセージに耳をすます
 
あとがきにかえて 
参考文献 
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【関連リンク】
デザインの言葉 アジアの音・光・夢幻工作舎 – 本が好き! Book ニュース
手織り大全誠文堂新光社 – 本が好き! Book ニュース
ファッションは語りはじめた 現代日本のファッション批評フィルムアート社 – 本が好き! Book ニュース
ファッションの意図を読む産調出版 – 本が好き! Book ニュース
チャイナドレスの文化史青弓社 – 本が好き! Book ニュース

【新刊】『現代音楽キーワード事典』春秋社

春秋社(http://www.shunjusha.co.jp/)は、9月に現代音楽キーワード事典を発売した。
 
前衛と刷新、試行と実験の系譜として、現代音楽の歴史を解説する1冊。
作曲家と作品、その作曲技法と記譜法、電子音楽の台頭で変貌する演奏のありよう、そして聴衆の反応などを、実例を挙げながら描く。
図形楽譜や電子音楽等の写真・図版を豊富に掲載。
「本書は、米国で第7版を重ねたロングセラーの教科書として、音楽のみならず、ひろく現代芸術を学ぶ人のための座右の書となっている(出版社サイトより)」。
 
現代音楽キーワード事典 書影 (続きを読む…)

【新刊】『帝国崩壊とひとの再移動 (アジア遊学 145)』勉誠出版

勉誠出版(http://bensei.jp/)は、9月に帝国崩壊とひとの再移動 (アジア遊学 145)を発売した。
 
かつて日本が近代化と同時に帝国化を推進していた頃、植民地や勢力圏には人びとが輩出されていった。
それと同時に、勢力圏の各地から多くの人びとが内地に流入したり、朝鮮から満洲へなど勢力圏内でも人口の大移動が生じていた。
そして、敗戦による帝国の崩壊によって、今度は劇的な逆流が生じた。
終戦直後の逆流は、単に帝国崩壊のほかに、戦後東アジアの地域秩序の形成によっても強く規定されていた。
この過程で、日本国内に「在日朝鮮人」という存在がもたらされ、旧勢力圏に中国残留孤児をはじめとする「日本人残留者」が生み出された。
単にひとびとが国境を越えて大量に動いた、あるいは残った、というだけではなく、移動したひとびとが戦後のそれぞれの社会にどのように包摂され、あるいは排除されていったのかという問題と深く関連している。
本書は、帝国日本をめぐる人口移動を、いまなお残された「東アジアの課題」として検証する1冊。
 
帝国崩壊とひとの再移動
 
目次
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序論―いま、帝国崩壊とひとの再移動を問う
 
第1部 朝鮮をめぐるひとの再移動の諸相
(日本帝国と朝鮮人の移動―議論と政策;朝鮮における日本人引揚げのダイナミズム―逃亡/引揚げ、送還/抑留、追放/懲罰の変奏曲 ほか)
 
第2部 満洲をめぐるひとの再移動の諸相
(満洲移民の引揚経験―岐阜県黒川開拓団を事例に;満洲からの引揚体験 ほか)
 
第3部 沖縄、台湾、南洋をめぐるひとの再移動の諸相
(ある沖縄移民が生きた南洋群島―要塞化とその破綻のもとで;フィリピン日本人移民の戦争体験と引揚げ―沖縄出身者を中心に ほか)
 
第4部 帝国崩壊後の様々な戦後
(在日朝鮮人の戦後と私;引揚援護活動と二日市保養所―女性引揚者の沈黙のなかで ほか)
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【関連リンク】
「大東亜共栄圏」経済史研究名古屋大学出版会 – 本が好き! Book ニュース
台湾に渡った日本語の現在: -リンガフランカとしての姿-明治書院 – 本が好き! Book ニュース
岡倉天心と大川周明山川出版社 – 本が好き! Book ニュース
アメリカの影のもとで 日本とフィリピン法政大学出版局 – 本が好き! Book ニュース
写真集成 近代日本の建築 第1期 「清水組 工事年鑑」ゆまに書房 – 本が好き! Book ニュース
日本近代林政年表 増補版 1867-2009日本林業調査会 – 本が好き! Book ニュース
アジア系アメリカ文学を学ぶ人のために世界思想社 – 本が好き! Book ニュース
翻訳の文学ー東アジアにおける文化の領域世界思想社 – 本が好き! Book ニュース
江戸時代 来日外国人人名辞典東京堂出版 – 本が好き! Book ニュース
見えない流れ彩流社 – 本が好き! Book ニュース
 
本が好き! 日本帝国をめぐる人口移動の国際社会学
 
大阪市立大学大学院・早瀬晋三の書評ブログ :
 『帝国崩壊とひとの再移動-引揚げ、送還、そして残留』蘭信三編(勉誠出版)

とても詳細な書評。一読をオススメします。

現代オーストラリアを代表するイラストレーター、ショーン・タン氏の講演

日本国際児童図書評議会(http://www.jbby.org/)は、10月22日に、オーストラリアを代表するイラストレーターであるショーン・タン氏を迎えて講演付き上映会を開催する予定。
 
タン氏は、孤独や不安、自己存在の意味を問いながら、人生の秘められた美しさ、世界への驚きなどを物語る絵本で知られている。
今回の講演ではホスト役として翻訳家・柴田元幸氏が登壇し、タン氏の子ども時代の話や、芸術家としての感性、無限的な世界観について迫るという。
上映会では、2011年度アカデミー賞の短編アニメーション賞を受賞したショートフィルム”The Lost Thing”を上映する。
 
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場  所|津田ホール
日  時|10月22日(土)18:00〜 (開場17:30)
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詳しくは日本国際児童図書評議会お知らせページ(http://www.jbby.org/news/index.html?c=4#95)へ。
 
ショーン・タンアライバル
アライバル 書影
 
【関連リンク】
荒木飛呂彦らの作品を紹介する「BDで楽しむルーヴル美術館」展 MMFギャラリーで開催 – 本が好き! Book ニュース
GHOST WORLD 日本語版 第二版- 本が好き! Book ニュース

「宮台教授の就活セミナー」開催

太田出版(http://www.ohtabooks.com/)は、宮台真司著宮台教授の就活原論発売を記念して、10月8日に、「宮台教授の就活セミナー」を開催する予定。
 
東日本大震災は、就職を控えた大学生たちにも大きな影響を与えたといわれている。
震災をきっかけに、「この社会はどうなってしまうのか」と不安を抱き、「働くとはなんなのか」「就職活動をする意味とは何か」と真剣に考え始めた人々に向け、首都大学東京で就職支援委員会委員長を務めた社会学者の宮台真司氏が、これから働く上で必要とされる資質は何か、その資質をどのように身につけるのか、またこれから生き延びるのはどんな企業なのか、その原理と実践を解き明かす。
 
ゲストは、TBSラジオ&コミュニケーションズの採用担当者・平山直樹氏。
TBSラジオ&コミュニケーションズは10年連続でラジオ聴取率No.1を維持しており、宮台氏はその理由のひとつに少数精鋭採用の成功があると考えているという。良い採用をする企業は学生のどこを見ているのか、新入社員を優秀なプロデューサーに育てるのはどのような環境なのか、採用現場の話を伺う。
 
なお、当企画では、宮台教授の就活原論投げ込みの読者ハガキにて、宮台氏への質問を募集している。
寄せられた質問には、今回のセミナー内で回答されるとのこと。
 
宮台真司著宮台教授の就活原論書影
宮台教授の就活セミナー 書影
 
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【日時】2011年10月8日13時00分開場、13時30分開演
【場所】日本青年館 国際ホール
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詳細は太田出版サイトのイベント紹介ページへ(http://www.ohtabooks.com/press/2011/09/20160031.html)。
 
【関連リンク】
宮台教授の就活原論太田出版 – 本が好き! Book ニュース

【新刊】『宮台教授の就活原論』太田出版

太田出版(http://www.ohtabooks.com/)は、9月に宮台教授の就活原論を発売した。
 
本書は、社会学者として知られる宮台真司氏(首都大学東京・前就職支援委員長)が執筆した1冊。
著者が従来から抱いていた自己啓発手法的な就活本への違和感が、震災後、誰にでも抱かれるようになったと本書は指摘する。
「理不尽な就活を強いるデタラメな社会を生き抜くために、就活の原理を学ぶ本(本書帯文)」。
 
宮台教授の就活原論 書影
 
目次
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第1章 なによりも”適応力”が求められている
第2章 仕事は自己実現の最良の方法ではない
第3章 自己実現より”ホームベース”
第4章 自分にぴったりの仕事なんてない
第5章 CMと就職情報サイトに踊らされない仕事選び
第6章 就職できるのは”ヘタレじゃないやつ”
第7章 社会がヘタレを生んでいる
第8章 すぐには役立たない就活マニュアル
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★「本が好き!」編集部ナガタのコメント★
表紙はなんとあのアニメ化もされ一部でコアなファンをもつそれでも町は廻っているの石黒正数氏。
とんでもない自己中心的なドジっ子にも関わらず、周囲をなんとなく幸せな気持ちにさせてしまう主人公・歩鳥の将来の姿を見るような、派手に書類をぶちまけている様子がそのまま表紙のイラストになっています。
就職活動に汲々としている学生の皆さんにとっては他人事ではないワンシーンなのではないでしょうか。
本書は、就活本として書かれていますが、同時に「就職がどうなろうが揺るぎない帰還場所=出撃基地(ホームベース)」を作るべきだとも主張しています。
これは重要な指摘だと思いました。
高校生が主に登場する『それでも町は廻っている』でも、バイト先の「メイド喫茶」よりも家族や友達との関係が重視され、それが物語の厚みを作り出しています。
就活を終えた人にもオススメな1冊です。
 
【関連リンク】
「宮台教授の就活セミナー」開催 – 本が好き! Book ニュース
 
軋む社会』河出書房新社-「シューカツ」問う論考を追加 – 本が好き! Book ニュース
アーティスト症候群?アートと職人、クリエイターと芸能人(河出文庫) – 本が好き! Book ニュース
現代奴隷制に終止符を! いま私たちにできること凱風社 – 本が好き! Book ニュース
周縁労働力の移動と編成 労働再審4大月書店 – 本が好き! Book ニュース
 
・本が好き! わたしたちの脳をどうするか―ニューロサイエンスとグローバル資本主義
 
 
 
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【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】
当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。
アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。
その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々とし、現在は板橋区在住。
フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。
百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。
「BOOKニュース」では出版系のイベントからマニアックな新刊情報まで、本に関する情報を収集して紹介しています。
ユニークな本を出される出版社様、紹介させていただきたいので是非BOOKニュース宛に新刊を送ってください!
twitterアカウント(@honzuki_news)でもときおり呟いております。

【新刊】『オーケストラの文明史 ヨーロッパ三千年の夢』春秋社

春秋社(http://www.shunjusha.co.jp/)は、9月にオーケストラの文明史 ヨーロッパ三千年の夢を発売した。
 
オーケストラはいつ生まれ、なぜ現在の姿をとるようになったのか。
人々がその響きに託してきた夢とはは何か。
時代ごとに変転するオーケストラの姿を描き、その響きに深く刻み込まれたヨーロッパの文化・思想を鮮やかに浮き彫りにした1冊。
 
オーケストラの文明史 ヨーロッパ三千年の夢 書影 (続きを読む…)