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名曲で辿るテクノの歴史『テクノ・ディフィ二ティヴ1963-2013』

来年1月末に、小室哲哉の新しい音源が発表されるらしい。20世紀末の日本の商業音楽シーンで圧倒的な存在感を誇った男。彼の次作のテーマは、どうやら「EDM」となるらしい。
かつて「今年はジャングルが来るね」という予言的な名言を放った小室にとっての「エレクトロニック・ダンス・ミュージック」とはいったいどういうものなのだろう。
 
今回紹介する、三田格+野田努によるテクノ・ミュージック・ガイドテクノ・ディフィ二ティヴでも、このエレクトロニック・ダンス・ミュージックという表現が登場する。1980年台に登場したアメリカのデトロイトで盛り上がった電子音楽を中心としながら、簡単には概観しきれないような多様性をもった「テクノ」の名盤を20世紀中頃から2012年に至るまで網羅的に紹介していく1冊だ。
 
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『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』って、どうなる?!

……まあ、バツイチ代表としては、別に結婚なんてしないでもいいと思うんですよ。でも「結婚願望」が強い人がいることも、そういう人たちの願望についても、僕が否定できるものでもありません。それにしても、「結婚したいにもかかわらず結婚できないかも知れない」という状況に苛まれている人を目にすると、やっぱり結婚なんてしないでもいいんだよ…と言いたくもなるわけです。そう僕が言ったところで、願望を捨て去るのは容易ではなく、結局のところ「結婚できる」ということしか救いがないように思われるのもまた事実。
 
さて、今回とりあげる31歳BLマンガ家が婚活するとこうなるの主人公は、31歳になって突然恋人と別れることになった女性。というか作者自身。別れることになった理由はともかく、「結婚予定あり」から「結婚の予定まったくなし」になってしまった自分に愕然とし、1年以内の結婚を目指して、いわゆるネット婚活に手を出すのだが……。というのがあらすじ。このあらすじだけでもわりと面白いのですが、この主人公はBL漫画の作家さんでもあるとのこと。独特の思考回路・趣味嗜好により、婚活にも少し変なヒネりが加わっていて笑えます。
 
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ヤバいモノを見てしまった…マジキチ漫画『ねこぐるい 美奈子さん』

「……あー、ヤバいモノを見てしまった。」
 
今回紹介するWebマンガねこぐるい 美奈子さん読後の率直な感想である。世の中にマジキチ(「マジ」で「キチ」ガイの略)と言われるマンガは多々あれど、これは殿堂入りなんじゃないかなあ…。
 
「猫好きの美奈子さんは、猫好きが高じて猫カフェで働くことになりました♫」という筋書きだけ見ると、いかにも何処かに既にありそうな、ほっこり心温まる日常系ストーリー……だと思ってました僕も。あまりに凄いので、作者の青稀シンさんとヤングジャンプ編集部にお願いして記事に画像の掲載をお願いしました。
12月19日には単行本も発売予定だとか。
 

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逃れがたい陰湿な魅力。今一番不気味なマンガ|カネコアツシ『Wet Moon』

不気味な世界に、人はなぜ憧れてしまうのでしょうか。怪奇文学やデヴィッド・リンチの映画のように、解き明かせない謎や、暗く陰湿な幻想を、人は思わず追い求めてしまいます。
 
そんな逃れがたい負の方向性を持つ魅力を、カネコアツシの作品は、強烈に放出している、と言えるでしょう。現代の閉ざされた郊外の町を舞台にして、解決の糸口がどんどん遠ざかっていく怪事件を描いた代表作SOILのあと、カネコが手掛けているのが、ノイズ成分マシマシで展開する新シリーズWet Moon。先日、第二巻が刊行されました。
 

  

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妖精世界からSFまで。想像が生んだ文学の系譜「世界幻想文学大全」

澁澤龍彦や荒俣宏を始めとする74名にものぼる錚々たる面々へのインタビューをまとめた幻想文学講義: 「幻想文学」インタビュー集成も好評な、アンソロジスト東雅夫が次に手掛けるのは、古今東西の「幻想文学」「怪奇小説」「幻想小説」を概観する叢書「世界幻想文学大全」。
 
まずは澁澤や中井英夫、ラヴクラフトやロジェ・カイヨワらの「幻想文学」論をまとめたガイダンス編幻想文学入門。そして続く第二弾は、「世界最古の怪談会小説」といわれるルーキーアーノス「嘘好き、または懐疑者」(高津春繁訳)からプーシキン「スペードの女王」(神西清訳)、モーパッサン「オルラ」(青柳瑞穂訳)、コルタサル「占拠された屋敷」(木村榮一訳)まで、怪奇小説の名作を名訳で集めた怪奇小説精華。この叢書は3冊完結予定で、第三弾は12月発売予定の『幻想小説神髄』となる予定。

  

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画家にして美術界のアウトサイダー、巨匠デュビュッフェの生涯を追う

今回取り上げるのは、評伝ジャン・デュビュッフェ アール・ブリュットの探求者(青土社)。
20世紀フランスを代表する画家のひとりでありながら、日本ではまだ知名度の低いデュビュッフェ。
その一生を、読みやすく飄々とした語り口で綴った1冊です。
 
デュビュッフェは、「アウトサイダー・アート」と日本では呼ばれることの多い「正統な美術教育を受けていない人による美術的な表現」の評価に力を入れた人物でもあります。アウトサイダー・アートは、精神科医で評論家でもある斎藤環が講演のテーマにするなど、一定の評価を得てきています。デュビュッフェは自らも画家であり、その活動と並行しながら、「アール・ブリュット」(フランス語で「未加工の芸術」という意味)と呼んで、アウトサイダー・アートの紹介に精力的に取り組みました。
 
デュビュッフェは「アール・ブリュットの魅力」を紹介しようと努めましたが、このことは「アール・ブリュットとは何か」という定義の問題に繋がります。デュビュッフェの登場以前は、美術とはちゃんとした美術教育を受けた人間によって職人的に創造され、それを読み解くことのできるのは上等な趣味を持つ人たちだけ、というのが常識であり良識でした。デュビュッフェはその常識と良識に挑んだのです。
またアール・ブリュットという考え方は「美術において何が正統な教育で、何が正統ではないのか」という問題も呼び起こします。そしてそれは、「日本語だけで行う美術教育は、西洋中心の美術の世界で正統性を持ちうるのか」、「そもそも本当にいまの美術の世界は西洋中心なのか」といった問いにも繋がる、とても興味深い話題なのです。
 
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幼女を誘拐し父親になったロリコン。精神をエグるテーマは犯罪×家族

ヤバい作家小路啓之が「小児性欲者が誘拐した子供を育てる」という危険すぎるテーマを描いた問題作ごっこ
 
とてもそんな強烈な設定で描かれているとは思えない儚げな表紙で、最終巻となる第三巻が刊行されました。今回は、読者の誰もが固唾を飲んで見守っていたに違いないこの物語をとりあげます。
 
文章は、フリーライターのたまごまごさんにお願いしました。「犯罪」と「家族」という、一見したところとても相容れないテーマを組み合わせた傑作『ごっこ』を読み解きます。
 
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『ねじまき少女』が踏み込んだ、今そこにある遺伝子の悪夢

今回の記事を執筆してくれたのは、「食」をテーマにナチズム研究をしている藤原辰史さん(東京大学農学部講師)。
 
ナチスや大日本帝国にはバイオSFのような側面があったというお話を以前伺ったので、バチガルピねじまき少女についてのコラムをお願いしました。
 
これからの政治支配は「遺伝子工学を軸になされる」と予想している藤原さんにとって、『ねじまき少女』に描かれた不気味な世界のおぞましさとは何なのでしょうか。
 

  

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文学フリマに行ってきました!戦利品26誌レポート

第15回文学フリマに行って来ましたので、とりいそぎお買い物レポートを。「買い過ぎてしまった…」という後悔と、「チェックしきれないサークルがいっぱいある…」という後悔とともに、「楽しい本をたくさん買えた」という満足感もあって不思議な気持ちです。
 
販売開始後3分で売り切れたという布製表紙の同人誌Rhetoricaの手作り感とか、初めて寄ったブースの作家さんにいろいろお話を伺えたりとか、本の即売会なのに「ライブ感」があって楽しかったです。コミケやコミティア(今回は文学フリマと日程が重なってしまって行けなかったのですが)にも同じライブ感があるのですが、相対的に規模が小さい文学フリマでは比較的落ち着いて楽しめるので、そこが好きですね。
 
ではさっそくレポートです。まずはあらかじめチェックしていた同人誌。
ねとぽよ 女の子WEB号は次の写真に)

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文学フリマ、今週末開催。注目のサークルはこれだ!

11月18日は第15回文学フリマです。個人的にチェックしたいリストを作っていたのですが、せっかくなので記事にして共有しようと思います。ちなみに僕が参加している同人誌もありますよ!
 
まずなんといっても表紙が美しいProject:AMNIS。先日Bookニュースでも取り上げたユリイカのジョン・ケージ特集に論考を書いていた仲山ひふみさんも寄稿しています。
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